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第21回朝日オープン将棋選手権五番勝負

熱戦制し深浦七段が堀口選手権者に先勝(128手完) 第1局

第1局を制し、和やかな表情で対局を振り返る深浦七段
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 3日午前10時から山形県天童市の「天童荘」で指されていた、第21回朝日オープン将棋選手権(朝日新聞社主催)の五番勝負第1局は午後6時10分、後手番の深浦康市七段(31)が堀口一史座(かずしざ)・朝日オープン選手権者(28)を128手で破り、先勝した。持ち時間各3時間のうち、残り時間は深浦七段2分、堀口選手権者1分。第2局は11日、大阪市北区の「芝苑(しえん)」で。

 序盤で積極的な攻勢を見せた深浦七段に対し、堀口選手権者が受けに回る展開。堀口選手権者は秒読みに追われながら頑張り抜いたが、終始、落ち着いた指し回しを続けた深浦七段が熱戦を制した。

 解説の鈴木大介八段は「深浦七段が序盤のわずかなリードを守り抜いた。堀口選手権者の追い込みもすさまじい迫力で、第2局以降も相居飛車の最新型を見ることができそうです」と話した。

 ◆深浦七段の話
久しぶりの大舞台でうれしさを感じて指した。戦いの中、△3一玉から△2一玉と固めたあたりに自分らしさが出たと思う。

 ◆堀口選手権者の話
序盤の模様の取り方が難しかった。構想がおかしかったかもしれない。

【記者室から】

 午後5時50分ごろ、記録係の片上大輔三段の「深浦先生、残り10分です」という声が響く。

    ◇

 午後5時30分ごろ、▲1六歩に「エーッ」と驚きの声があがった。△3六歩に島八段は「痛いですね」。堀口選手権者が扇子を鳴らす音が大きくなってきた。

    ◇

 「後手の深浦七段優勢」という意見が大勢を占めている。優勢を意識した指し方、いわゆる「激辛(げきから)」という評判も。△6六歩のあたりで、島八段は「生涯勝率7割(の人)は違うなー。5割だと、どっかに甘さが出てくるからなー」と感心した様子。

    ◇

 午後5時10分ごろ、本譜は△6九角だったが、控室では△6八角が有力だった。発案者(?)の鈴木八段は「いいかどうかはわからないけど、たぶん受からない可能性が高いと思いますが……」。堀口選手権者への秒読みが始まっている。

    ◇

 ▲4九玉に島八段は「すばらしい」を連発。鈴木八段も「時間が無い中、よくやりましたねー」。堀口選手権者の健闘をたたえる声が多い。ただし、形勢とは別の話、とのこと。

    ◇

 ▲7六銀に控室の島八段、鈴木八段が「おっ、いった!」。ただし、鈴木八段は「△3八歩とたらされて、いってる(深浦七段の攻めが決まっている、という意味)と思うんですけど……」。

    ◇

 鈴木大介・新八段と中倉彰子女流初段の大盤解説会をのぞく。平日の午後にもかかわらず、70人ほどの方に来て頂く。天童の子どもたちが楽しそうに聞いてくれているのが、うれしい。
 鈴木新八段は、堀口さんの残り時間の少なさを心配して、「24分ですかー。(中原囲いにした)深浦さんの王様を詰ますのは大変ですよ」。

    ◇

 堀口選手権者の▲4七金の評判が良い。それまでは深浦七段良しという雰囲気だったのだが……。島八段は「盤上のバランスを保った好手」という。島八段と中原永世十段の解説を聞いていた近代将棋の中野隆義編集長に、わかりやすくかみ砕いて教えてもらう。「ちょっと前に▲3七銀、▲3八金の形がありましたよね。あの局面で△5六歩と突く手があったんです。ただ、深浦七段はもっと良い状態で仕掛けようと思って△2六歩とタラして陣形を乱して△5六歩と行こうとしたんでしょう。△1四飛が好手だと思っていたんですが、▲4七金も好手。将来の△5六歩に事前に備えてます。△5六歩に▲6六銀という手も指せますしね」

    ◇

 記者室は和室2部屋。小さい部屋には、朝日新聞社の記者や観戦記担当の東公平さん。大きい部屋には、日本将棋連盟専務理事の中原誠・永世十段や将棋専門誌「将棋世界」「近代将棋」「週刊将棋」の記者、衛星放送のカメラマンら。
 出たり入ったりで人が少ない時、大きい部屋に電話がかかってきた。小さい部屋にいた私が、だれかが電話にでてくれた気配を感じて、ふと見ると、中原永世十段。「ひやー、すみません」と駆け寄ったが、「連盟からだったので大丈夫ですよ」と笑顔。

    ◇

 午後2時。局面はまだ動かない。午前中の速い指し手がうそのよう。

    ◇

 午後1時50分、△2三銀の局面で堀口選手権者が長考中。立会人の島朗八段に現局面での感想を聞く。「深浦さん側からすると、軽快にさばく戦法。堀口さんは、それを押さえ込みに行っている。さばけるか、押さえ込むか、そういう勝負になると思いますね」とのこと。

    ◇

 正午すぎ、指しかけの局面で鈴木大介・新八段に夕刊用のコメントもらう。「深浦さんが積極的に動いてますね。ただ、飛角桂(の攻め)ですから、攻めをうまくつなげるかどうかですね。堀口さんとしては、攻め合いにするか、受けに回るか、方針を決めなくてはならない場面です」

    ◇

 午前中は指し手が速かった。△5一金までの消費時間は、堀口17分、深浦12分。
 鈴木大介・新八段は「深浦さんが攻めきることができるかどうか。堀口さんは少し受け身ですね。深浦さんからは、いつでも△5六歩の切り札がある。(それに備えて)▲6六歩なら穏やかで、それなら堀口さんが押さえ込む方針と決まります。深浦さん側は(攻撃態勢の)セットができてますからね。後は右桂を使えればさらに理想的ですが……。堀口さんはいいタイミングで▲4六銀、▲3五歩という押さえ込みが実現すれば有利になります。ただし、そう、おいそれとは実現しないでしょう。早くも序盤の山場です」
 結局、41分の長考で堀口選手権者は▲6六歩。







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