「祭司」の意味を持つ、ヘブライ語の「コヘン」を名字に持つ著者は、地中海沿いの北アフリカ・チュニジアに先祖を持つ、「血統的」ユダヤ人である。若い頃から空手・武道にて心身の修練を重ね、宮本武蔵の著した「五輪書」を読み、正統派ユダヤ教徒として旧約聖書を読む。そして2004年から2007年にかけては、駐日イスラエル大使として日本に駐在された。著者はこれらを通して、日本とユダヤの伝統・文化が非常に似ている事を見抜き、日本に自身と同じ「血統的」ユダヤ人の子孫が存在している事を確信しておられる。その上で、著者は「親日ユダヤ人」である。
本書は、第7章までの250ページが有る中で、第1・2章の「武士道精神」、「自害、切腹」と言う、日本の伝統的な精神性について述べたものが2/5程を占めており、それを巻頭に持って来ている。また、第3章の「神道とユダヤ教」と言う霊性・宗教性についてのものと併せると3/5程にもなり、著者が古来からの日本精神・大和魂・武士道精神を評価して、その日本の精神性・心性・霊性・宗教性を重視する考えが伺える。
著者は大使の他、政治家、社長等も務めて来られたが、日本の武道と「武士道」を通じて、人生哲学、生き方、考え方、身の修め方、道徳、陰徳、質素礼節、献身、施し、使命感、責任感等を学び、多大な影響を受けたと述べている。己を克服し、死を恐れず、義の務めとして大切なものを守る為には自分の命も惜しまず犠牲にし、その私心の無い精神の果てに存在する本当の自信、冷静・不動・平安な心、「武士道」の「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義・克己」を、心身の鍛錬・集中稽古によって会得された。
日本の「武士道」をはじめとする精神性に共感するだけで無く、鍛え上げた事によって得た目利き・洞察力を持って、日本の伝統・文化への共感と同時に数々のユダヤとの共通性を見い出されたが、その中でも、日本の天皇・皇室の皇胤(天皇の血統、皇統、皇裔)と、ユダヤの祭司の家系が、共に「男系男子」であると言う重要性を挙げておられる。因みに、現在のイスラエル国家はリベラル的政策の下でユダヤ人とする定義を「宗教的」と「母系」を含める様に変えてしまっているが、本来の伝統的なユダヤ人であるとする定義も「血統的」な「男系」であったのである。創造主である唯一の神の選民である「血統的」ユダヤ人と、古代ユダヤの指導者・預言者モーセの兄アロンの「男系男子」の血統の祭司、その血統を同じくする日本の神道大祭司の皇胤が、この世における「天命」を全うする為に、自身の「世俗的」人権・自由を犠牲にして、国民と「超越者」である神との間に立つ媒介者・祭司となっておられる事が、「男系男子」の根底の意味を成しているのである。
人それぞれの生命は創造主の持ち物である為に、それを勝手に殺める事は罪となる為に、自殺も勿論、罪となる。しかし、「武士道」における「自害」、「切腹」はその単純で安易な自殺とは異なる。単なる自殺の場合、生命の所有者・創造主に対して罪を犯すだけではなく、不遇・困難な状況から安易に逃れる事や、責任逃れ、使命・運命・天命からの逃避等と、却って卑怯な行為と捉える事が出来る。一方の「武士道」の「自害」、「切腹」は、冷静沈着な上で忍耐の末の「やむにやまれぬ」気持ちから、家族・大切な人・民族・国家・伝統・文化・日本精神・魂・誇り・信仰・独自性等を守る為の捧命・自己犠牲・殉死・殉教、責任を取る事、名誉、命懸け、仇討ち等において行われた。それらは単なる自殺とは全く異なるものと捉えられ、旧約聖書を規範に持つ著者もその事を肯定している。例として、大東亜戦争における日本の特攻隊、忠義・清廉で「七生報国」を誓いあった楠木正成・正季兄弟、ユダヤで英雄とされているエリエゼル・マカウィ(B.C.164年)、マッサダ、旧約聖書に登場するユダヤの初代王サウルと士師記のサムソンを挙げる。紀元70年のエルサレム陥落前後、ローマ軍とのユダヤ戦争の末期における、マッサダにおけるユダヤ人の集団自決は、奴隷になって侮辱される事を選ばず、自由戦士として潔く死を選んだ。
・・・(中略)・・・
新約聖書・ヨハネの福音書12章24・25節
「まことに、まことに、あなたがたに告げます。一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます。
自分のいのちを愛する者はそれを失い、この世でそのいのちを憎む者はそれを保って永遠のいのちに至るのです。」
旧約聖書・箴言24章16節
「正しい者は七たび倒れても
また起き上がるからだ。
悪者はつまずいて滅びる。」
・・・楠木正成・正季「七生報国」
・・・(中略)・・・
日本人は無宗教の人たちが多いと一般的には言われているが、著者が客観的に日本を眺めた所、生活習慣、しきたり、儀式、伝統、文化等に宗教性、神道的な・・・・・・(後略)
(以下、頑狷曲捻者TNの日々雑記、沈思黙考)

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驚くほど似ている日本人とユダヤ人 (中経の文庫 え 1-1) 文庫 – 2008/1/1
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA(中経出版)
- 発売日2008/1/1
- ISBN-104806129437
- ISBN-13978-4806129431
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA(中経出版) (2008/1/1)
- 発売日 : 2008/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 254ページ
- ISBN-10 : 4806129437
- ISBN-13 : 978-4806129431
- Amazon 売れ筋ランキング: - 302,947位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 252位中経の文庫
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2017年5月10日に日本でレビュー済み
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2014年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人とユダヤ人の感性の類似点をいろいろ述べておられるのが興味深いです。
土地の環境が真逆の状況でありながらなぜに感性が同じなのでしょうか?ルーツとか
もっと突き詰めて考えていきたいと思いました。トルコあたりでも日本のおじさんとそっくり
な方を何人も見かけましたし日本人は一部ユダヤ方面からの渡来人なのかなと興味が
深まっています。
土地の環境が真逆の状況でありながらなぜに感性が同じなのでしょうか?ルーツとか
もっと突き詰めて考えていきたいと思いました。トルコあたりでも日本のおじさんとそっくり
な方を何人も見かけましたし日本人は一部ユダヤ方面からの渡来人なのかなと興味が
深まっています。
2014年4月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人として、また歴史を勉強するうえでも、絶対
に読まなければならない本の一冊と思います。
世界人類は皆同じ、地域差別など全くおかしい
世界は一つだと思います。
に読まなければならない本の一冊と思います。
世界人類は皆同じ、地域差別など全くおかしい
世界は一つだと思います。
2014年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
双子みたいな二つの文化に驚くとともに 早く一つの民族になりたいです。
2010年1月5日に日本でレビュー済み
長年にわたってイスラエルで空手を修行してきた著者が、在日イスラエル大使としての滞在も含め、三度にわたる自らの日本滞在経験も踏まえて書きおろした思索の書。
本書の著者であるエリ・コーヘン氏は、「日本の武士道精神とユダヤの人生哲学」には非常に共通するものがあることを教えてくれる。
著者は、ユダヤ人としてのアイデンティティのきわめて強い人であり、しかも空手修行に加えて、英文で宮本武蔵の『五輪書』を熟読してきた人でもある。英国でM.B.A.を取得した国際ビジネスマンであり、国民皆兵制のもと軍務もこなし、政治家と外交官も経験してきた実践の人である。
訳文がこなれて読みやすいということもあろう、松濤館空手五段の腕前をもつコーヘン氏の文章は核心を突く指摘に充ち満ちており、読んでいてビンビンと心に響くものを感じた。
イスラエルは人口比でみたら、日本以上に各種の日本武道が普及している国であるという。この意味においては、正確には日本人と”ユダヤ系イスラエル人”に共通するものが多い、というべきかもしれない。
日本人とユダヤ人がよく似ていることは、日本人とユダヤ人の双方からさまざまな人たちによって指摘されてきたことである。しかし著者は、いわゆる「日ユ同祖論」からは距離を置いている。こういった立場をとらなくても、日本人とユダヤ人がかなり共通性をもっていることを著者は確かに示している。
本書を読むことで、あらためて日本人とは何なのか考えるキッカケになるであろう。そして必ずや日本人としての自覚、誇りを見いだすはずである。ただちょっと日本人を理想化しすぎているきらいがなくはないのだが・・・
日本人は、共通点と相違点をよく認識したうえで、自らの鏡としてのユダヤ人(=ユダヤ系イスラエル人)を大いに意識すべきなのである。
パラパラと見ているうちに、思わず引き込まれて最後まで読んでしまった。読むべき価値のある一冊といえよう。
本書の著者であるエリ・コーヘン氏は、「日本の武士道精神とユダヤの人生哲学」には非常に共通するものがあることを教えてくれる。
著者は、ユダヤ人としてのアイデンティティのきわめて強い人であり、しかも空手修行に加えて、英文で宮本武蔵の『五輪書』を熟読してきた人でもある。英国でM.B.A.を取得した国際ビジネスマンであり、国民皆兵制のもと軍務もこなし、政治家と外交官も経験してきた実践の人である。
訳文がこなれて読みやすいということもあろう、松濤館空手五段の腕前をもつコーヘン氏の文章は核心を突く指摘に充ち満ちており、読んでいてビンビンと心に響くものを感じた。
イスラエルは人口比でみたら、日本以上に各種の日本武道が普及している国であるという。この意味においては、正確には日本人と”ユダヤ系イスラエル人”に共通するものが多い、というべきかもしれない。
日本人とユダヤ人がよく似ていることは、日本人とユダヤ人の双方からさまざまな人たちによって指摘されてきたことである。しかし著者は、いわゆる「日ユ同祖論」からは距離を置いている。こういった立場をとらなくても、日本人とユダヤ人がかなり共通性をもっていることを著者は確かに示している。
本書を読むことで、あらためて日本人とは何なのか考えるキッカケになるであろう。そして必ずや日本人としての自覚、誇りを見いだすはずである。ただちょっと日本人を理想化しすぎているきらいがなくはないのだが・・・
日本人は、共通点と相違点をよく認識したうえで、自らの鏡としてのユダヤ人(=ユダヤ系イスラエル人)を大いに意識すべきなのである。
パラパラと見ているうちに、思わず引き込まれて最後まで読んでしまった。読むべき価値のある一冊といえよう。
2012年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正しくは「驚くほどでもないけど似ている空手家とユダヤ軍人」
侍かぶれの空手家が書いた日本見聞録です。
日ユ同祖論の本ではありません。
日本とユダヤの文化比較ではなく、空手と武士道にユダヤの精神を垣間見た、という程度の話です。
著者の認識する武士道はかなり偏っております。
それさえ承知しておけば興味のある方には楽しめる読み物です。
ユダヤ民族にとってイスラエル建国がどれほどの意味をもっていたのかを知り、
今も聖書に生きている彼らの心に触れることができます。
侍かぶれの空手家が書いた日本見聞録です。
日ユ同祖論の本ではありません。
日本とユダヤの文化比較ではなく、空手と武士道にユダヤの精神を垣間見た、という程度の話です。
著者の認識する武士道はかなり偏っております。
それさえ承知しておけば興味のある方には楽しめる読み物です。
ユダヤ民族にとってイスラエル建国がどれほどの意味をもっていたのかを知り、
今も聖書に生きている彼らの心に触れることができます。
2013年7月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
かなり細かく研究してるかんじでおもしろかったです。題名より、内容はいいと思いました。