出版された当時、3,520円は高いよなぁ・・・・と思いつつ、結局買ってしまった。
それから4年半ほど経って、このような体裁の本はほかにあるのだろうか・・・・と改めて考えてみると・・・ありそうでない・・・・のである。今では中古本なら2,000円までで入手できるようになった。となると、俄然読んでみる価値があるように思う。
私の場合、当時、極寒のアラスカを縦断する石油運搬パイプラインを維持管理している人達、国防総省と錆との戦いの部分はあっという間に読んでしまった。
大水被害等の際にはTVに動かなくなってしまった車や自転車がよく映し出される。その度に思わず錆と電気系はどうなったんだろうと昔から気になる。車がダメになってしまう・・・という視点だけでいえば、50年以上前の車より今の車の方が、ちょっとのことで廃車にしなければならなくなる確率は高くなる。東北の震災の際は戦闘機が瞬間で使いものにならなくなった。大規模な災害に見舞われる度に簡単に膨大な扱いづらいゴミが生まれる。それらは大型化するばかりだ。
この本を読んで、何を考えるかは人それぞれだろう。私の場合は文明とそれによって産み出された逃れられない維持行為に尽きる事のない努力を続けている人々に敬意を表すると共に、どんどん維持の負荷が高くなる現状にコペルニクス的転回はないのかとめどなく考える事になる。

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錆と人間 (ビール缶から戦艦まで) 単行本 – 2016/9/1
ジョナサン・ウォルドマン
(著),
三木 直子
(翻訳)
ウォールストリート・ジャーナル、ベストブック・オブ・ザ・イヤー受賞! ロサンゼルス・タイムズ、最優秀図書賞最終候補作! 「最大最凶のデストロイヤー」と言われる錆(さび)。金属を加工し利用することで文明を発達させてきた人類にとって、錆は大敵だ。 防食技術と自由の女神、ステンレス鋼開発秘話、国防総省と錆との戦い、腐食防止の環境ホルモンのリスクをひたかくしにする缶産業の実態、 極寒のアラスカを縦断する石油運搬パイプラインは、産出量の低下も相まって維持管理は重大な問題である。 錆という自然の脅威に、めっきを施し、電流を流し、新たな技術と培った経験を武器に立ち向かう人類の戦いを描く。
- 本の長さ356ページ
- 言語日本語
- 出版社築地書館
- 発売日2016/9/1
- 寸法15.6 x 2.9 x 21.8 cm
- ISBN-104806715212
- ISBN-13978-4806715214
商品の説明
出版社からのコメント
渡辺泉氏(東京農工大学准教授)による日経新聞での書評: http://style.nikkei.com/article/DGXKZO08411500V11C16A0MY7001?channel=DF130120166019&style=1
著者について
ジョナサン・ウォルドマン(Jonathan Waldman) アメリカ、ワシントンD.C.で育つ。 ダートマス大学とボストン大学のナイト・センター・フォー・サイエンス・ジャーナリズムで書くことを学び、 また近年は、コロラド大学でテッド・スクリップス奨学金を得て環境ジャーナリズムを学んだ。 環境・科学ジャーナリストとして、ワシントン・ポスト紙や『アウトサイド』『マックスウィーニーズ』といった雑誌に寄稿しているほか、 フォークリフト運転、樹木医、サマーキャンプの監督、ステッカー販売、コックなどの仕事を経験。 本書は処女作で、ウォールストリート・ジャーナルのベストブック・オブ・ザ・イヤーを受賞、 またロサンゼルス・タイムズの最優秀図書賞最終候補作にも選定され、アメリカで大絶賛を受けた。ウェブサイトは jonnywaldman.com。 三木直子(みき・なおこ) 東京生まれ。国際基督教大学教養学部語学科卒業。 外資系広告代理店のテレビコマーシャル・プロデューサーを経て、1997年に独立。 海外のアーティストと日本の企業を結ぶコーディネーターとして活躍するかたわら、 テレビ番組の企画、 クリエイターのためのワークショップやスピリチュアル・ワークショップなどを手掛ける。 訳書に『[魂からの癒し]チャクラ・ヒーリング』(ナチュラル・スピリット)、 『マリファナはなぜ非合法なのか?』 『コケの自然誌』 『ミクロの森』 『斧・熊・ロッキー山脈』 『犬と人の生物学』 『ネコ学入門』 『柑橘類と文明』 『豆農家の大革命』(以上、築地書館)、 『アクティブ・ホープ』(春秋社)、 『ココナッツオイル健康法』(WAVE出版)、 他多数。
登録情報
- 出版社 : 築地書館 (2016/9/1)
- 発売日 : 2016/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 356ページ
- ISBN-10 : 4806715212
- ISBN-13 : 978-4806715214
- 寸法 : 15.6 x 2.9 x 21.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 576,831位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 202位金属・鉱学 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本では、錆についての書物は入門書や専門書として刊行されているが、幅広い読者層に受け入れられる書物としてはほとんど知られていない。取り入れられているトピックスは専門分野ではよく知られているが、一般的な読者層に受け入れられるか疑問と思われたが、米国で受け入れられたことに驚きをもっている。日本でも社会的インフラの維持・保全に関心がもたれているので、その基本的メカニズムとしての錆の発生と抑制についての知見を知るために有用である。
2017年6月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
確かに錆びについていろいろ面白い逸話などがありましたが、錆についての話が全体のメインというわけではありませんでした。
どちらかというと錆と関わりがある人々の人間ドラマに焦点が合っていたような気がします。
途中でそのような人々の生活や趣味などの話が延々と続くような部分では、興味が持てずに飛ばして読んでしまいました。
どちらかというと錆と関わりがある人々の人間ドラマに焦点が合っていたような気がします。
途中でそのような人々の生活や趣味などの話が延々と続くような部分では、興味が持てずに飛ばして読んでしまいました。
2016年11月9日に日本でレビュー済み
たしかに、錆にまつわる様々なことが書いてある。パイプラインの話なんかとても面白い。
だけど、体系建てして書かれている訳ではないので途中で錆の話なのかステンレスの歴史なのかわからなくなる程、話が逸れがちだし、他に書くべきことがあるんじゃないの?という気にもなる。
だけど、体系建てして書かれている訳ではないので途中で錆の話なのかステンレスの歴史なのかわからなくなる程、話が逸れがちだし、他に書くべきことがあるんじゃないの?という気にもなる。
2016年9月20日に日本でレビュー済み
本書はAmazonのカテゴリでは「科学読み物」になっている。間違ってない、その通りである。
錆の化学メカニズムや、ステンレス鋼の発明、腐食しにくい缶の開発などが説明される。
古代ローマでは投石機を弱らせて軍を嘆かせ、現代アメリカでは年5000億ドル近い損失をもたらす科学現象と人類の戦いがメインテーマ。
ただし語り口はかなりミクロ。
筆者独自の取材を中心に構成され、各章で錆に関するさまざまな職業の1人ないし数人にスポットをあて掘り下げる形式。
その相手は錆を専門に撮るカメラマンや、防錆用品店のオーナーにも及ぶ。
皆プロフェッショナルで扱ってる内容も専門的なのだが、筆者への軽口なども交えながらどれも軽妙に描かれる。
国防総省の「防食政策」局長も登場し堅い話もあるが、メインは啓発キャンペーンの撮影現場の様子で、それが極めてコメディタッチ。
石油パイプライン内の錆探知ロボットも失敗の連続が愛嬌にあふれ、それを開発改良していくチームのことも読みながら応援してしまう。
科学的知見を得たい、金属と人類の歴史を知りたい、の意欲のもと読むと冗長に感じる部分がかなり多いと思われる。
ただ人間ドラマとしては筆者のインタビュアーとしての才能がいかんなく発揮されすいすい読める。
次回作が待ち遠しくなった。
錆の化学メカニズムや、ステンレス鋼の発明、腐食しにくい缶の開発などが説明される。
古代ローマでは投石機を弱らせて軍を嘆かせ、現代アメリカでは年5000億ドル近い損失をもたらす科学現象と人類の戦いがメインテーマ。
ただし語り口はかなりミクロ。
筆者独自の取材を中心に構成され、各章で錆に関するさまざまな職業の1人ないし数人にスポットをあて掘り下げる形式。
その相手は錆を専門に撮るカメラマンや、防錆用品店のオーナーにも及ぶ。
皆プロフェッショナルで扱ってる内容も専門的なのだが、筆者への軽口なども交えながらどれも軽妙に描かれる。
国防総省の「防食政策」局長も登場し堅い話もあるが、メインは啓発キャンペーンの撮影現場の様子で、それが極めてコメディタッチ。
石油パイプライン内の錆探知ロボットも失敗の連続が愛嬌にあふれ、それを開発改良していくチームのことも読みながら応援してしまう。
科学的知見を得たい、金属と人類の歴史を知りたい、の意欲のもと読むと冗長に感じる部分がかなり多いと思われる。
ただ人間ドラマとしては筆者のインタビュアーとしての才能がいかんなく発揮されすいすい読める。
次回作が待ち遠しくなった。
2016年10月23日に日本でレビュー済み
手に取る前は、350ページ2段組、“錆”とか“腐食”はもちろんのこと、金属工学などが専門でない私に読み通せるだろうかと思っていたが、予想外に読みやすかった。決して、体系だって書かれているわけではないが、錆が持つ様々な面にふれることが可能だ。
最初に驚かれたのは、錆の被害の大きさ。アメリカでは年に5000億ドル近い損失がでているとのこと。日本円に換算すると、ざっと50兆円で平成28年度における日本の国家予算(一般会計)のほぼ半分。日本での被害が書かれているわけではないが、経済規模などを考えれば推して知るべしだ。錆びない鉄・ステンレスの歴史や缶詰の錆と環境ホルモンなどの問題も興味深い。また、分量的に最も多い、石油運搬パイプラインの錆探知ロボットの話にも強く惹かれた。ピグと呼ばれるロボットにおける調査や開発に関わるスタッフたちの悲喜こもごもが面白い。さらに、廃棄された製鋼所で“錆の美”を追求する写真家の執念も素晴らしい。できれば、その写真を見てみたい(原著のカバーに使用されているので、それだけは見ることができた)。日常的な錆の問題もフォローされている。
たしかに錆自体は身近な存在だ。物心がつく年齢に達すれば、ほぼ錆に一度や二度は接している。しかし、本書を読んでいくと分かることだが、一般人だけでなく、技術者でさえも知らないことが多いようだ。橋梁、水道管やガス管などを含むインフラのことを考えると、日本でも“錆”の損失を無視することはできないはずだ。日本ではどのような対策が講じられているのか気になってきた。
最初に驚かれたのは、錆の被害の大きさ。アメリカでは年に5000億ドル近い損失がでているとのこと。日本円に換算すると、ざっと50兆円で平成28年度における日本の国家予算(一般会計)のほぼ半分。日本での被害が書かれているわけではないが、経済規模などを考えれば推して知るべしだ。錆びない鉄・ステンレスの歴史や缶詰の錆と環境ホルモンなどの問題も興味深い。また、分量的に最も多い、石油運搬パイプラインの錆探知ロボットの話にも強く惹かれた。ピグと呼ばれるロボットにおける調査や開発に関わるスタッフたちの悲喜こもごもが面白い。さらに、廃棄された製鋼所で“錆の美”を追求する写真家の執念も素晴らしい。できれば、その写真を見てみたい(原著のカバーに使用されているので、それだけは見ることができた)。日常的な錆の問題もフォローされている。
たしかに錆自体は身近な存在だ。物心がつく年齢に達すれば、ほぼ錆に一度や二度は接している。しかし、本書を読んでいくと分かることだが、一般人だけでなく、技術者でさえも知らないことが多いようだ。橋梁、水道管やガス管などを含むインフラのことを考えると、日本でも“錆”の損失を無視することはできないはずだ。日本ではどのような対策が講じられているのか気になってきた。