人間の世界のすぐ隣に幽玄の世界があるという世界観が好きなのでとても面白く読めました。
雨月物語は、マンガにもなったりまたモチーフとしても使われたりすることも多いので原作の雨月物語を知っておくと余計に楽しめるのではと思います。
この本には実在の人物も登場するので、その人物の説明や時代背景、現在ではどこの場所なのか至れり尽くせりで書かれている点が、知識を広げる点で役に立ちます。
難しい固有名詞なども丁寧に説明してあるので、読みやすいです。
雨月物語は幽玄の世界と人間の交わりが描かれていますが、その根底にあるのは「心」。
醜かったり、美しかったり、悲しかったりする心が描かれている点が魅力だと思います。
一番好きな話は蛇の精が人間に恋してしまう話。
ある優男が一旦は蛇精の美しさに惹かれて千年の愛を誓うものの、正体を知るとあっさり裏切るといういかにも人間的な反応をする。
それに比べて、嫉妬に狂い恐ろしげな言葉を吐きながらも、一途に優男を思い続ける蛇精が私にはとても愛らしく思えます。
定番通り、蛇精は退治されてしまうのですが、その後優男は長生きするものの、後妻になった人間の女は早死してしまいます。
「蛇精があまりにも哀れなので、蛇精の位置に取って代わった後妻を犠牲にした」ということなのだとか。
とても面白い考えですし、物の怪を恐れながらも哀れを感じる当時の人の心を知ることができました。
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眠れないほど面白い『雨月物語』妖美怪奇な9つの話 (王様文庫 D 12-12) 文庫 – 2015/9/28
由良 弥生
(著)
「雨はれて、月おぼろにかすむ夜――」
三島由紀夫、谷崎潤一郎も愛した怪談『雨月物語』を大胆・鮮やかに再現。
【祟り神】天皇家が700年間も恐れた怨霊『白峯』
【元祖ボーイズラブ!?】試される義兄弟の絆『菊花の契り』
【映画で有名】帰らぬ夫と待つ妻『浅茅が宿』
【不思議体験】魚に変身した画僧の物語『夢応の鯉魚』
【異形のモノ】うかつな親子が遭遇・高野山の怪『仏法僧』
【驚愕のラスト】お告げに背いた夫婦『吉備津の釜』
【ずっと一緒に…】追う女・追われる男『蛇性の婬』
【人喰い】美童に溺れた僧の猟奇的事件『青頭巾』
【予知】お金好きの武士と黄金の精霊との問答『貧富論』
……全9話
美しい言葉で綴られた中世日本の残酷な物語。
心の奥にじわりじわりと染みこむ――!
三島由紀夫、谷崎潤一郎も愛した怪談『雨月物語』を大胆・鮮やかに再現。
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【人喰い】美童に溺れた僧の猟奇的事件『青頭巾』
【予知】お金好きの武士と黄金の精霊との問答『貧富論』
……全9話
美しい言葉で綴られた中世日本の残酷な物語。
心の奥にじわりじわりと染みこむ――!
- 本の長さ325ページ
- 言語日本語
- 出版社三笠書房
- 発売日2015/9/28
- 寸法10.7 x 1.5 x 15 cm
- ISBN-104837967655
- ISBN-13978-4837967651
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登録情報
- 出版社 : 三笠書房 (2015/9/28)
- 発売日 : 2015/9/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 325ページ
- ISBN-10 : 4837967655
- ISBN-13 : 978-4837967651
- 寸法 : 10.7 x 1.5 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 630,084位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 607位王様文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
眠れないほど・・・ではないけど、いや~、ホントに面白かったです!由良氏の他の本も読んでみたいと思いました。
原作は読んだことがないのですが、さすがに「芥川龍之介や三島由紀夫など、幾人もの大作家たちに傑作と言わしめた」、というだけあって、何百年経っても、まったく色褪せない鮮度のある物語ですね!江戸時代の人たちの生活や、その時代の風を感じることができました。
内容が優れているのは当然ながら、惹き込まれるような文体であり、誰でも理解しやすい現代訳になっていることも、素晴らしいと思います。
ただ、途中で解説が挟みこまれているスタイルが、ちょっと慣れませんでした。
物語が面白いだけに、解説で集中が途切れてしまうところが難点。物語の最後に全部まとめるには長すぎるので、間に挟みながら、というスタイルになってしまうのは致し方ないところです。小説と解説の書体を変えるなどの工夫があれば、読むスピードの早い人間にとっては識別しやすく、もっと読みやすくなると思いました。
しかしながら、この解説がまた非常によく出来ていて、ちょっとした教養にもなれば、本の内容を深める知識にもなり、この小説の講義を受けているような気分にもなれます。
怪奇というと、陰鬱としたオカルト的な、もっと薄気味悪い話のイメージがありますが、非常に優れた文芸作品であり、人生について、また心の在り方について考えさせられる話ばかりです。
欲というものの度が過ぎると、人の心がどのように移り変わり、それがどんな姿となって現れるのか、そのような心にどのように歯止めをかけ、昇華させていくべきかという道を説く、道徳的なストーリーばかりで、ハッピーエンドじゃない話でも、なんだか清々しい気持ちで読み終えることができました。
原作は読んだことがないのですが、さすがに「芥川龍之介や三島由紀夫など、幾人もの大作家たちに傑作と言わしめた」、というだけあって、何百年経っても、まったく色褪せない鮮度のある物語ですね!江戸時代の人たちの生活や、その時代の風を感じることができました。
内容が優れているのは当然ながら、惹き込まれるような文体であり、誰でも理解しやすい現代訳になっていることも、素晴らしいと思います。
ただ、途中で解説が挟みこまれているスタイルが、ちょっと慣れませんでした。
物語が面白いだけに、解説で集中が途切れてしまうところが難点。物語の最後に全部まとめるには長すぎるので、間に挟みながら、というスタイルになってしまうのは致し方ないところです。小説と解説の書体を変えるなどの工夫があれば、読むスピードの早い人間にとっては識別しやすく、もっと読みやすくなると思いました。
しかしながら、この解説がまた非常によく出来ていて、ちょっとした教養にもなれば、本の内容を深める知識にもなり、この小説の講義を受けているような気分にもなれます。
怪奇というと、陰鬱としたオカルト的な、もっと薄気味悪い話のイメージがありますが、非常に優れた文芸作品であり、人生について、また心の在り方について考えさせられる話ばかりです。
欲というものの度が過ぎると、人の心がどのように移り変わり、それがどんな姿となって現れるのか、そのような心にどのように歯止めをかけ、昇華させていくべきかという道を説く、道徳的なストーリーばかりで、ハッピーエンドじゃない話でも、なんだか清々しい気持ちで読み終えることができました。
2017年11月28日に日本でレビュー済み
解説がなければ、現代語訳としてとても素晴らしいできだったと思います。
一篇ごとに、ついている解説が正直、うざいと思いました。
また解説内容も陳腐なものだと(少し本好きな人は誰でも知っていること)
だと感じました。
一篇ごとに、ついている解説が正直、うざいと思いました。
また解説内容も陳腐なものだと(少し本好きな人は誰でも知っていること)
だと感じました。
2021年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
眠れないほどではなかったですがwwwとても面白かったです♪