webからのファンだったので、紙の本で手元に置けるのも、番外編も加筆もとても嬉しいです。
お話はタイトルの通り。大変後ろ向きな、到底褒められない性格のヒロインが異世界トリップして、そこでも元来のうじうじっぷりを遺憾なく発揮し、自己保身のあまり虎になっちゃう所からスタートです。
ヒーローは白虎の姿のヒロインを魔獣と判断。自分の手駒にするべく騙して主従契約を結んじゃうような鬼畜でヒレツな皇太子様。でもすごい美少年。そしてとにかくヒロインへの当たりがキツイ。努力家で自分に厳しいヒーローは、魔力に恵まれてるのにぐだぐだな獣（＝ヒロイン）が許せないのです。そりゃそうだ。
ヒロインが獣の姿をしていることも相まって、甘さはほとんどありません。ラブラブ要素を期待してると脱落するかも。でも、ヒロインへの苛々やヒーローの境遇への同情を溜め込みつつ読み進めると、気持ちのいい大団円が待っています。
ヒーローもヒロインも、深いコンプレックスを抱えています。それでも前に進もうとするヒーローのために、ヒロインは最後の最後で勇気を振り絞るのです。全くイケてない、後ろ向きで、何をやってもダメだったヒロインが。前半の鬱々が激しい分、ラストの爽快感は大きかったです。
個人的には、やはりもうちょっと甘さが欲しいというか、その後の二人がどんなふうに愛を育んだのかが気になるところだったのですが、書籍ではその辺もチラッと番外で見せてくれて、大変満足しました。
通り一遍ではない作品が読みたいという方におすすめです。
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