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平成 単行本 – 2002/8/1
- 本の長さ181ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2002/8/1
- ISBN-104163211004
- ISBN-13978-4163211008
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商品の説明
著者からのコメント
それを描くことによって、私たちがいま生きている「平成」という時代はどういう時代なのかを、あぶり出そうと試みています。
そして、この日本にある「白昼の狂気」、日本の会社や学校に、あたりまえのような顔をして存在している狂気を描くことが、いちばん根っこにある狙いです。
私はテリー伊藤さんとの対談集「お笑い(バツ印)日本の防衛戦略~テロ対策機密情報」を昨年10月に上梓していますから、書店によってはノンフィクションコーナーに間違って置かれたりしているようですが、純然たる文学作品、小説です。
私は、かつて共同通信政治部の記者でした。昭和天皇崩御のときに首相官邸記者クラブにいました。そのときに体験したことを元に書いています。
あのときのことに整理をつけて文学に昇華し、世に問うまでに、14年かかりました。
この小説は、単行本になるまえに「文學界」4月号に掲載されたのですが、作家の津島佑子さんが朝日新聞の文芸時評で「14年経って、ようやくに現れた証言」という趣旨のことを書いてくださっています。作者としてもそう思います。
あの当時、報道の現場にいた誰も、そのときに何があったかを書いていませんでした。
そして、この小説は報道の裏側を描いてはいますが、報道界の内幕を暴くことが目的ではありません。
この国の会社で働いている人、この国の学校へ通っている人、すべての人が言葉にできなくとも感じている「真昼の狂気」を描くことが目的です。
どうか一度、手に取ってみてください。
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2002/8/1)
- 発売日 : 2002/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 181ページ
- ISBN-10 : 4163211004
- ISBN-13 : 978-4163211008
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,165,277位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 27,251位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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に書かれた私小説です。
通信社の内幕を舞台として、時代の大きな転換点となった
昭和の終わりの焦燥、寂寥、困惑がありありと表現されている。
僕は思想的にはリベラルだが、天皇の存在の偉大さは理解しているし、
今後も永久に続くことを望んでいる。その重みも実感してるつもりだ。
天皇という存在をレゾンデートルに及ぶまで考え抜く
に至らざるを得なかった著者の経験を通して、僕自身は天皇を
新たに見つめ直す好機となり得た。
ただ小説の要素である娯楽という観点では、それほど心惹かれるもの
ではなかった。
まるですべての人間に向けて可能な悪態のようにぼそっと話しの中に挟んできたのを如何にも不快であると思った。
著者もその種の人であり、そのように本作『平成』を綴ったであろうか。否と思う。それ故に読める小説であると評価する。
かつての記者時代を回想する形で書かれ、事実そのものを掴む経緯の中で「彼」「彼女」を通して、貫けるものなどなかった事が理解される。
それは時を経てアメリカの投資会社で働く「彼」が心を惹かれたアジアを統括する白人の支社長の言葉にも露わではないか。
「ほんとうに組織に徹して働くとは、最後には組織より個を優先する原則を秘めていることです」
彼はそこに疑問符をつける。楠が「原爆」について語るシーンはよりそのことを印象づける。
日本が「国破れて山河あり」ではないことを、「昭和」から「平成」への移行の「白昼の狂気」なるものの証言により描ききった力作ではなかろうか。
そのとき、記者魂と人として良心の狭間で彼の心に去来したものはなんだったか。
昭和天皇崩御前後、当時の史実をリアルに交えながら、記者としての精神のゆらぎを通して、日本人と日本が表現されている。
実にリアルに綴られたフィクションである。
また、作家青山繁晴としての精神の高潔さが、そのまま清潔な文体となって表現されており、階段の踊り場での淡い一瞬の恋の場面は、読むものの心に静かに深く響く。
更に軽井沢の首相別荘で、直立不動の姿勢のまま天皇賛美を叫ぶ首相のくだりは、そのリアリティーに読みながら私は身震いするのだ。
記者として活躍した作者の経験が、確かな裏づけとなって生きている。
2002年12月20日に青山氏から戴いたサインに附された言葉は「一誠」
淡々として緻密な筆致で語られる「あの時」を記者の回顧録の形で著している。
筆者の体験を活かした、筆者にしか書けない「昭和から平成」へ至るまでの経緯、そして、昭和天皇の崩御報道の始まりから終わりまでが現場の人間模様も絡め 鮮やかに、そして少し哀しく描かれている。
モノローグでひっそり閉じていた白い桔梗がエピローグではさりげなく開き咲いていたのも示唆的。
全編を通して品格の高さと、柔らかな眼差しを感じられるので、時を経たらまた手に取り再読したくなる不思議に新鮮な魅力を放ち続けている本の一冊であることも付記したい。
再販をご検討戴きたいご本…。今回、強くそのように想い綴らせて戴きました。
満喫できます。
真実と小説の面白さと純文学の香りの高さ
三位一体で楽しめます。
魅力的な人が何人も出てきます。
とくに主人公の新聞記者さんが一番素敵なんですけど
脇役が渋くて魅力的です。
ロマンスもちょっぴり出てきてどきどきします。
平成となってすでに16年もたってしまいましたが
いまこそ平成になった意味をもういちど
確かめ噛み締めるためにもお読みになられることを
お勧めさせて頂きます。
最初に本屋さんで手に取ったときは、天皇の話だし、マスコミの話だから、あんまりわたしに関係ないかなって思って、買わなかった。
だけど、書評があちこちに出ていて、なんか気になって読んでみたら、凄かった。わたしが高校の時から思っていた、悩んでいたこと、今の会社に入ってからも悩んでいることの、いちばん底の方にあるものが、ざああって、見えたような気がしたんです。
その「現実世界」と一線を画す存在として描かれる(と私は捉えた)天皇の存在。
天皇と「現実世界」のコントラストを通じて、人がおそらく誰しも抱いている、葛藤―誤解を恐れずに言うならば、良心と後ろめたい気持ちとの葛藤―が描かれているのではないか。
本書を、マスコミの裏話、あるいは天皇についてのお話ではないかと思って、手に取ることを躊躇されている方がいらっしゃるのであれば、是非手にとってみることをお薦めいたします。
最後に主人公の直面した「葛藤」、これに対する主人公の選択に、救われる思いがした。