“名優”イチロー、絶妙トリックプレーで敵をだます「リスク取らずに利益は取れない」
デイリースポーツ 5月11日(月)10時23分配信
「ジャイアンツ3−2マーリンズ」(10日、サンフランシスコ)
マーリンズのイチロー外野手(41)が「3番・右翼」で出場し、3打数無安打1四球、1盗塁。主砲のスタントンが休養のため、マリナーズ時代の12年5月29日以来、3年ぶりに3番で起用されたが結果を出せず、打率は・270となった。試合は、マーリンズがサヨナラ負けを喫した。
【写真】イチロー、レーザービーム決まって「あざあーす」
全員がその動きにだまされた。スタントンに代わって今季初めて右翼を守ったイチローが絶妙なトリックプレーを披露したのは、1点リードの九回1死一塁の場面だ。
左打者のブランコが放った大飛球。頭上を越えると知りながらイチローは打球から目を切り、ほぼ定位置で落下地点に入るふりをした。もし打球の行方を見るために振り返ってしまえば、一塁走者は長打を確信し、一気にホームを狙う。
「とりあえず、ランナーを止める。(僕は)一塁ランナーと目を合わせてますから」。
走者が一、二塁間で足が止まったのを見てから体を180度反転させたイチロー。慌ててスタートを切った走者は本塁を突くことはできなかった。
敵地AT&Tパークの右翼フェンスの表面はレンガ造りで凹凸だらけ。07年にイチローが同所で球宴史上初のランニングホームランを記録した時は、フェンス直撃の打球が外野手の想定外の方向に飛んでいったことによるものだった。この日のプレーでも同じことが起こる可能性は十分あったが、「考え方としては、僕の周りに跳ね返って来た打球ではランナーを還さないということですね」とイチロー。演技力だけでなく、胆力も要するプレーに「リスクはあるけど、同点にはしたくはない。そりゃあ、どう跳ね返るか分からない。でも、リスクを取らないと利益も取れない。僕は今日はそっち(利益)を取ったということですね」と説明した。
その演技にだまされたのは敵だけではなかった。イチローに「大丈夫?(打球が)見えなかったの?」と聞いてきたのは中堅手のオズナだ。試合後にイチローから「意図的だった」と言われてようやく理解。イチローは「本当はセンターが知っててカバーに来てくれることが前提としてあるけど、僕の動きにセンターがだまされていた。ダグアウトのピッチャーもそういう反応だったらしい。(若い選手は)経験がないから仕方ないよね」と話した。
敵だけでなく、味方までもがだまされたプレー。同じ外野手のジャイアンツ・青木は「完全にイチローさんのファインプレー。記録に残らないファインプレーですよ」と感嘆の声を上げていた。
最終更新:5月11日(月)11時49分
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