「三陸復興国立公園」を構想 沿岸6自然公園再編へ


 

 【東京支社】環境省は18日の政務三役会議で、青森県の種差海岸から宮城県の松島までの沿岸部の六つの自然公園を「三陸復興国立公園」(仮称)として再編する構想を明らかにした。同地域には陸中海岸国立公園(久慈市―気仙沼市)などがあるが、東日本大震災で甚大な被害を受けたため、震災時の避難路や震災の様子を伝える施設などを整備。再編で水産業振興や観光地としてのブランド化を目指すほか、雇用の創出を図り、復興の起爆剤にする考えだ。

 復興公園の範囲は南北約350キロ。北から▽種差海岸階上岳(はしかみだけ)(青森県立)▽陸中海岸(国立)▽気仙沼(宮城県立)▽南三陸金華山(国定)▽硯上山(けんじょうさん)万石浦(まんごくうら)(宮城県立)▽松島(同)―の6自然公園が含まれる。

 構想によると、災害時の緊急避難場所や避難路となる「鎮魂の森」や「三陸海岸トレイル(長距離歩道)」を整備。被災を記録、継承するための学習施設を設ける。また、被災した農漁業者らに協力してもらい、エコツーリズムを推進することで、地元の雇用確保も図るとしている。

 同地域では、陸中海岸国立公園の拡張と「三陸海岸国立公園」への名称変更の動きなどがあったことが構想の一つの要因になった。環境省は今後、政府の復興構想会議に提案するとともに公園化の同意を得るため、県や関係市町村などと協議を始める方針。

 同省の中山隆治国立公園課長補佐は「被災地の復興状況を見ながら協議を進めていきたい」とし、再編のめどについては「陸中海岸国立公園の拡張と名称変更は2012年度を目指していたが、震災があったのでそれより後になるだろう」との見通しを示した。

 県自然保護課の八重樫典彦総括課長は「国の責任で一体的に整備するのは歓迎。構想は雇用への波及など裾野が広い。国と連動し復興を促す動きになるよう努めたい」と期待。

 種差海岸の陸中海岸国立公園への編入を求めてきた小林真八戸市長は「実現へ三陸沿岸自治体との連携をさらに深め、復興に向けバックアップしたい」と話す。

(2011/05/19)




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