ログインご利用ガイド

年収・給料と企業のクチコミ情報

年収・給料のクチコミ情報キャリコネ

年収・給料のクチコミ情報キャリコネ

市場価値診断テスト

企業徹底研究


 失われた20年ともいわれる長期低迷。企業と社員の関係は変わってきた。非正規社員の増加、給与の頭打ち、終身雇用の終焉……。働く不安定さは増大し、もはや高度成長期のような会社と社員の蜜月関係は、望むべくもないのか。
  ではいま、社員は、会社をどう思っているのだろう?
  年収と企業口コミ情報サイト、「キャリコネ」を運営するグローバルウェイでは今回、4万件を超す登録データを分析。「愛社されている企業と愛社されていない企業ランキング」をまとめた。社員から愛されている会社と、社員から愛されていない会社はどこか。その顔ぶれを公表する。

 このランキングは、キャリコネに登録されているデータをもとに、「年収への満足度」や「仕事のやりがい」「キャリアパスの公平さ」「労働環境」など、7つの指標について満足度を数値化して、会社ごとに集計した結果だ。
  集計にあたっては、まず全企業のなかから登録データが10件以上ある企業133社を抽出し、この113社についての登録データ3783件をもとに、7指標の合計点を集計した。
  では、ベストとワーストの顔ぶれを見ていこう。

社員が選んだ愛社されている企業ランキングTOP15

■愛される1位「三菱商事」2位「住友商事」

――群を抜く商社マンの愛社精神

 愛社されている企業のトップは三菱商事、2位は住友商事となった。商社の圧倒的な強さを示す結果だ。   三井物産も5位にランクインしており、総合商社7社のうちの財閥系の3社すべてがトップ5に入っているのは興味深いだろう。   3位は旭硝子で、製造業としては断トツの上位となった。
  ではまず、三菱商事の社員の声をみていこう。海外営業を担当する男性社員(30)はいう。
「給料は満足しています。査定は一部実力主義があるけど大体は年功序列で上がっていってます」
  年収は900万円。仕事には大きなやりがいを感じている。査定は一部実力主義があるが、おおむね年功序列で上がっていくそうだ。福利厚生にも満足していえるという。
「社員寮(安い)、社員食堂(普通)、出張手当(高い)、全体的にいいほうだと思う」
  というのは、企画営業の男性社員(26)だ。経理を担当する男性社員(25)も、こういう。
「残業時間は正直多いですが、その辛さに見合うだけの知識やビジネスパーソンとしての振る舞いや意識、メンタル面の強さ等、吸収できることはたくさんあります」
  とりわけ海外相手の商売や投資案件では、さまざまな内容を幅広く学べることが、商社の魅力だという。将来は転職することも見越しながら、こう考えている。
「労働市場でもマーケットバリューを高めることの出来る職場環境ではないか」
  次に2番手の住友商事。海外営業を担当する男性社員(33)は、
「今担当している海外に向けての営業は、日本の今後を左右する重要なファクターであるから、常にやりがいは感じる」
  という。海外出張に行くときは、外国の現場を生で見ることを貴重な体験ととらえて、有意義に過ごそうとしているそうだ。
「効果的なフィードバックができるようにがんばっている」
  と、働きぶりも前向き。年収は720万円だという。コンサルティング営業を担当する男性社員(24)も、
「世界をまたにかける仕事がしたいとおもって入社した。給与は非常に満足している。他の会社の行った友人に聞いてもここまでもらっている感じはなかった」
  といっている。
  3位の旭硝子。研究開発の男性社員(27)は、年収530万円。商社に比べれば、収入面では見劣りすることにかすかな不満もある。だが、
「誰も答えを知らない技術的課題について試行錯誤、仮説検証し解決していく過程はメーカーの技術職でしか味わえない非常に面白くやりがいのある仕事だと思う。1年目からそこそこ重要度の高い問題を任せられ、また色々と挑戦し易い雰囲気でもあるので自己の成長も図れ、仕事内容への満足度は高い」
  と、メーカーならではの魅力を熱く語っている。
  これらの「愛社される会社」の上位企業では、ほかにも社内の雰囲気や各種の手当ての充実ぶり、キャリアパスなどさまざまな点について魅力があげれ、職場への高い満足度がうかがえるのが特徴だ。

社員が選んだ愛社されていない企業ランキングTOP15

■愛されない1位「USEN」2位「ヤマダ電機」

――小売り、新興IT、不動産に「会社離反」

 一方、愛社されていない企業のランキングでは、1位USEN、2位がヤマダ電機、3位は大塚家具となった。日本の企業の特徴として、流通業やサービス産業などでの生産性の低さにより、給与水準が低位であることが知られるている。ランキングも、これに対応する結果となった。
  まずは、ワーストのUSEN。経理を担当する女性社員(27)はバッサリと切り捨てる。
「給料は本当に少ないと思う。一昨年は大赤字だったため、大幅なリストラと減額があった。賞与もかなり少ないし、残業代も諸手当も出ない。報酬に関しての期待はできないと思っている」
  年収は440万円。それでも、社内の雰囲気が若くて活気がある点が救いだそうだ。
  営業部門の女性社員(23)も、
「どの部署も帰りは終電なので、体力勝負でタフさが必要。ちなみに残業は月100時間をこえますが、30時間までしか残業代はつきません」
  と、サービス残業が常態化していることを告発している。同じ意見は、ほかの複数の社員から出ている。
「まったくもって業務過多の企業。みなし残業で30時間程度の手当てがつくが、残業が100時間を越えない月はない。場合によっては休日出勤も強制である。もちろん手当ては皆無」
  と、営業管理を担当する男性社員(24)。年収は280万円だという。
  2位のヤマダ電機も、社員の恨み節にあふれている。
「有給休暇があるが使わせてもらえない。上から使ってはいけないといわれている。休みも最高で三連休のみで、結婚しても最高5日のみの連休」
  と明かすのは、販売の男性社員(23)。体がだるくて熱があっても、休むことが不可能だという。
  やはり、複数の社員から同様の声が出ている。
「連続休暇もとることができず、有給消化などまったくできない。勤務時間も8時から24時で、月4回休みはひどすぎる」
  というのは、店舗スタッフの男性社員(34)だ。これでは社員のモチベーションはあがらない。企業としても成長できないことに危機感をもっている。
  3位の大塚家具も、よく似た職場環境にあるらしい。
「社員をあまり大切にする会社ではないので、待遇は期待できない。高級家具を扱っている割には、給与は安売りで有名な紳士服チェーンとほぼ同額。同業のニトリと比較すると年間で約100万円も安い。サービス残業なんて当たり前」
  こちらもまた、同じ内容の意見がほかの社員から出ていた。
  このように「愛社されていない企業」に共通するのは、社員の努力や健闘に対して、誠実に対応していない経営側の姿勢だ。「職場の雰囲気は悪くない」「社員は協力して頑張っている」といった前向きな声がありながら、会社への忠誠に結びついていない。

■「トヨタvs.日産」「ドコモvs.KDDI」

――ライバル対決の結果は、大手の優位

 では最後に、同業のライバル対決を見ていこう。社員からの「愛され度」で勝っているのは、どちらだろうか。
  まずは、トヨタ自動車と日産自動車。トヨタは15位に入ったが、日産は49位にとどまった。日産の社員からは、他社との違いとして、給与などの待遇や会社の姿勢をあげる声が目立つ。
「会社の知名度からすると、給与は驚くほど低い。30歳で月の手取りが20万円ちょっと。7年目から9年目くらいで係長クラスになり、年収が600万円くらいになりますが、トヨタやホンダに比べてはるかに低い」
  というのは、商品企画を担当する男性社員(27)だ。機械設計の男性社員(27)も、他社との違いをこう指摘している。
「トヨタやホンダと比べて、会社としてのポリシーが足りないように思う」
  では、NTTドコモとKDDIはどうだろう。どちらも上位で、差はわずかだが、NTTドコモの10位に比べると、KDDIは17位とわずかに遅れを取った。
  KDDIで研究開発を担当する男性社員(26)はいう。
「給料については業界内ではドコモやソフトバンクに引けを取らないレベルだと思うが、そもそも通信業界自体の給与水準が低いため満足できる水準ではない」
  福利厚生のメニューも一通りそろっているが、とりたててよいものも無いのだという。
  これに対してNTTドコモの社員の声は、
「福利厚生は大変良いといわれています」(Web担当・男性31歳)
「給与はメーカなどに比べるとやや高い程度。ただし家賃補助などが充実している」(研究開発・男性33歳)
  など、微妙にニュアンスが違ってくる。こうした小さな違いが積み重なって、ライバル企業との「愛され度」の差になっているのかもしれない。

(記事:週刊企業レビュー編集部)

社員が選んだ愛社されていない、愛社されている企業ランキング

» 週刊企業レビューバックナンバーはこちら