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イチロー 引退表明の“親友”に贈るサヨナラ

ツインズ戦の10回、サヨナラ打を放ち大喜びするマリナーズのイチロー
ツインズ戦の10回、サヨナラ打を放ち大喜びするマリナーズのイチロー
Photo By 共同

 さよならジュニア――。マリナーズのイチロー外野手(36)が2日(日本時間3日)、ツインズ戦の延長10回2死一、二塁で二塁へサヨナラ内野安打。試合前に現役引退を表明した、歴代5位の通算630本塁打を誇るケン・グリフィー外野手(40)へはなむけの一打を放った。自身にとって唯一ともいえるあこがれの存在。突然の引退表明に動揺し、3年ぶりの3三振を喫したが、最後は最高の形で親友を送り出した。 【試合結果

 あの人懐っこい笑顔が脳裏から離れなかった。延長10回2死一、二塁。イチローは6球連続ファウルの後の11球目、外角低めのスライダーを強引に二遊間に運んだ。

 「本当は24番のところを抜けていってほしかったですけど。それでも最後は24番のところに飛んでいったから。あの状況で回ってくるのは、僕、持っているでしょ」

 そこには球場整備員によってグラウンドの砂に描かれた、グリフィーの背番号「24」。何とか捕球した二塁手がベースカバーに入った遊撃手にトスしたが、間一髪セーフ。その間に二塁走者がホームを踏んだ。イチローは2度万歳し、一塁コーチに飛びついた。歓喜の瞬間も、親友のことで頭の中はいっぱいだった。

 「打席に立つ前は、いろんなことがよぎりました。去年の春、(WBC決勝の)最後の打席は僕の野球人生で最も雑念の多かった打席と言いましたけど、その次に雑念の多い打席と言えるでしょうね」。動揺し、心は乱れた。それでも最高の結果を出した。自身の右肩あたりを示しながら「きょうは、ずっとこのへんにジュニアがいましたね」と静かに振り返った。

 試合前にワカマツ監督から衝撃の事実を知らされた。「あまりにも突然すぎて、整理もできないまま混乱した状態でゲームをずっとやってました」。4打席目までに、07年9月23日エンゼルス戦以来となる1試合3三振。「やっぱり動揺はありますよ。僕だって一応、人間ですから。僕の中では守られてるっていう意識が凄く大きかった」

 オリックス時代からあこがれの存在だった。イチローは寮の自室にユニホームを飾り、打撃フォームもまねたほど。95年の初対面の際には「腕(の太さ)が倍になったらメジャーを考えます」と約束した。99年のマ軍のキャンプ参加時に再会。昨年グリフィーがマ軍に復帰し、一気に距離が近くなった。クラブハウスでは、お互いをけなし合うTシャツをつくって笑い転げた。今キャンプの打ち上げではグリフィーがたる酒を日本から取り寄せ、寿司パーティー。乾杯をして今季の活躍を誓いあったはずだった。

 「選手としてどうというのは超越していて、人間ケン・グリフィー・ジュニアっていうのが僕の中では偉大な存在だった」。グラウンドを去った盟友。その思いを胸に、イチローはこれからもグラウンドに立ち続ける。

 ≪サヨナラ打点は5度目≫イチローがメジャー移籍以来、サヨナラの打点を記録したのは5度目。02年9月16日レンジャーズ戦での押し出し四球が初めてで、サヨナラ打は昨年7月28日ブルージェイズ戦(中前打)、9月17日ホワイトソックス戦(右中安打)9月18日ヤンキース戦(右越え2ラン)と昨季だけで3度記録した。オリックス時代は5度のサヨナラ打点を挙げている。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2010年06月04日 ]

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