大阪・池田小学校児童殺傷事件の

報道被害に関する調査結果について

 本年6月8日の大阪・池田小児童殺傷事件は凄惨きわまりなく、被害に遭われた方々やご家族のご心痛をお察し申し上げます。また、今後裁判において容疑者が適正な裁きを受けることを希望いたしております。
さて、この事件では、当初、犯行と精神障害との関係が明らかにされないまま、「精神障害者による事件」という形で大きく報道されました。しかしながら、このことによって、精神障害者やその家族が、報道被害ともいうべき大きなショックとダメージを受けたことは省みられておりません。
 当会では、この報道による影響を明らかにするため、全国122の精神病院の医師と通院患者・家族を対象にした調査を実施しました。
 調査期間は、7月16日から8月26日まで、回収率は、医師が62.6%(229票)、精神障害者とその家族が41.5%(506票)でした。
 その結果、「症状が不安定になった」「病気について深く考え悩んだ」「眠れなくなった」など、報道の影響と思われる何らかの精神的・身体的症状が見られたと答えた人は精神障害者で38.0%、家族で39.4%でした。
 また、報道後近所の人や親戚などと人間関係が悪化したと答えた人は精神障害者で11.0%、家族で7.5%でした。
 さらに、医師回答があった92の精神病院の医師(各病院1〜3人)への報道による影響についての設問では、90.2%の病院で報道により何らかの悪影響を受けた患者がいたと回答がありました。
 具体的には「自分の病気や障害について深く考え悩むことがあった人がいた」(73.9%)、「他人の目が気になったりして外出が嫌になった人がいた」(63.0%)、「再発というほどではないが症状が不安定になった人がいた」(57.6%)、などが多く見られました。
 なかには深刻なケースもあり、今回の調査対象者である医師229人が受け持つ患者だけでも、自殺した患者が2人、入院・再入院した患者が24人いたことが明らかになりました。
 
 今回の調査で、この事件の報道による影響が深刻なものであることが改めて明らかになりました。この事実を踏まえ、各報道機関においては、精神障害者が関わる事件報道のあり方を反省・再検討し、偏見を助長しないような報道をおこなうよう改めてお願い申し上げます。

 

大阪池田小事件による報道被害に関する調査報告

報道被害に関する精神障害者・家族・医師のご意見

 

尚、この調査報告は、報道機関・関係機関等約200か所に配布しました。

この件についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。

zenkaren@zenkaren.or.jp

 

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