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「AKB48」キャラ消費の進化論

斎藤 環(精神科医)

デビュー当時からは隔世の感

 2005年にデビューしたアイドルグループ「AKB48」の人気は、このところ一気に加速しつつあるようだ。さまざまなプロモーションにも起用されるようになり、オタク男性に限らず男女ともに幅広い支持を集めつつある。

 アイドル不毛の時代といわれて久しいが、彼女たちの人気はまぎれもなくアイドル人気にほかならない。しかし、国民的アイドルといわれてもピンとこない方も多いだろうから、Wikipediaなどを参考に概要を記しておこう。

 AKB48とは、秋元康氏が久々に総合プロデュースを手がけたアイドルグループであり、その名のとおりほぼ48人の少女で構成されている。

 ドン・キホーテ秋葉原店八階にある「AKB48劇場」をホームグラウンドとして、「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、ほとんど毎日公演を行なっている。遠い存在だったアイドルをより身近な存在にすることで、その成長過程をみせながら、ファンとともに成長していくアイドル・プロジェクトを謳っている。

 第一回公演の観客がわずか7人だったことは、いまや語り草となっているが、現在では競争率100倍以上のプラチナチケットと化しているようだ。2007年には全国ツアーから海外公演、紅白出場も果たしている。楽曲は歌謡曲テイストの親しみやすいものが多く、ヒットチャートの常連となりつつある。

 最近、週刊誌などで「AKB人気にもそろそろ翳りが……」などといった記事が散見されるが、逆にこういう記事が出るくらいなら、その人気は“ホンモノ”といってよいだろう。

 彼女たちのデビュー当時のことは、いまなお記憶に新しい。なにしろどこからどうみても安直な「便乗アイドル」にしかみえなかったからだ。

 便乗というのはこういうことだ。2003年に出版された森川嘉一郎氏の著書『趣都の誕生萌える都市アキハバラ』(幻冬舎)や2004年の『電車男』(新潮社)ブームをきっかけとして、当時はちょっとしたアキバブームがメディアを席巻していた。「萌え」や「メイド喫茶」、「腐女子」といった言葉が日常に浸透し、オタクたちが背負いつづけてきた負のスティグマがほんの少し軽くなったかにみえたあのころ。

 そこへもってきて「AKB48」である。かつて時代の寵児だった秋元康様も、さすがにカンが鈍ったか。便乗するに事欠いて、二次元の街に三次元を持ち込むとは何事だろうか。僕はこの「痛いニュース」を冷笑とともに一瞥し、すぐに忘れてしまった。世間も大方も、そういう見方だったのではないか。

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