予選会で１位でゴールする東海大の村沢明伸

　◆第８６回東京箱根間往復大学駅伝競走（箱根駅伝＝２０１０年１月２、３日）予選会（１７日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地滑走路～国営昭和記念公園内＝２０キロ）東海大の村沢明伸が５９分８秒で日本人１年生では９４年の菅野邦彰（亜大）以来の個人１位。

　スーパールーキーが真価を発揮した。１５キロ過ぎだ。東海大の１年生・村沢は先輩たちを横目に余裕のスパート。前回個人１位の東農大・外丸、５０００メートルの持ちタイム１位の城西大・高橋優を一気に置き去りにした。１７キロ過ぎに左足がつりかけたがスピードは落ちない。５９分８秒。２位の高橋優に１５秒の差をつける完勝で、個人１位に輝いた。４年生の記録が伸びず、チームが９番目にようやく“勝ち名乗り”を受けると「通過することが目標だった」と安どの表情が満ちた。

　長野・佐久長聖高時代では世界ジュニアクロカンなど、各世代の日本代表にも選ばれた。３年時には全国高校駅伝３区で留学生と互角に渡り合う区間２位で初優勝に貢献し“世代最強”に。「先輩に追いついて、世界を視野に入れたい」と目標にする高校の先輩、佐藤悠基（現・日清食品グループ）と同じ東海大に入学した。

　指導する新居利広・駅伝監督（５６）は「悠基のレベルまでは達していないが、練習の強度は近いものがある」と期待する。入学直後の織田記念（４月２９日、広島）５０００メートルで１３分４８秒６２と自己記録を更新し、ユニバ代表も経験。直後の夏合宿では１０００キロ以上の走り込みを敢行し「故障せずにできるスタミナがついた」と手応えをつかんだ。

　１２日の出雲駅伝では、高校の同級生だった早大の佐々木寛文（４区２位）、平賀翔太（６区４位）が好走。テレビ観戦した村沢は「あいつらに刺激をもらった。予選会ではやってやろう」と、決意を胸にレースに臨んだ。

　進化し続けるルーキーは、「箱根では自分の力を出し切って区間賞を獲得をしたい」と宣言。あこがれの先輩もなしえなかった総合Ｖへ。怪物ルーキーが“湘南の暴れん坊”をけん引する。

　◆村沢　明伸（むらさわ・あきのぶ）１９９１年３月２８日生まれ。長野・塩尻市生まれ。１８歳。東海大体育学部１年。楢川中２年で陸上を始め、佐久長聖高時代は高校総体５０００メートルで２年連続６位。０９年ユニバ代表。９月の日本インカレでは日本人トップの２位。１６６センチ、５２キロ。家族は母と兄２人。