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関空、LCC国際線専用の第3ターミナルビルの安全祈願祭

2017年3月開業に向けて建設開始

2015年6月22日 発表

2017年3月供用開始予定

第3ターミナルビルの安全祈願祭で鍬入れ式が行われた。新関西国際空港株式会社 代表取締役社長CEO 安藤圭一氏(左から4番目)や関西国際空港長 鏡 弘義氏(左から5番目)ら関係者一同が参加

 関西国際空港(関空)と大阪国際空港(伊丹)を運営する新関西国際空港は6月22日、LCC用国際線ターミナルとして計画している関西国際空港の第3ターミナルビル工事の安全祈願祭を実施した。第3ターミナルビルは現在稼働している第2ターミナルビルに隣接する場所に計画されており、オープンすると、現在の第2ターミナルをLCC国内線専用、第3ターミナルをLCC国際線専用として役割分担する。第3ターミナルの年間旅客対応可能数は400万人としており、第2ターミナルの400万人と合わせるとLCCだけでのべ800万人の対応が可能となる。構造は一部2階構造の平屋建て、床面積は約3万6300m2となる。投資額は130億円強となる。

 なお、第3ターミナルビルのオープンに合わせて駐機場やスポットも新設される予定で、小型機は11機まで対応できる(中型機は6機)。これを第2ターミナルビルと合わせると20機まで対応できる。

第3ターミナルビルの完成予想図。手前が新設される第3ターミナル。奥側が既存の第2ターミナル(提供 新関西空港株式会社)
LCCのために施設使用料を抑えるシンプルな構造になっている(提供 新関西空港株式会社)

 安全祈願祭では、一同のお祓いのあと、祝詞の奏上や地鎮の鍬入れ、玉串の奉奠、神酒拝載といった神事が行なわれた。

一同へのお祓い
祝詞の奏上
方角に対するお祓い
新関西国際空港株式会社 代表取締役社長CEO 安藤圭一氏による地鎮の鍬入
株式会社熊谷組 代表取締役社長 樋口靖氏による地鎮の鍬入
玉串の奉奠
神酒拝載
新関西国際空港株式会社 代表取締役社長CEO 安藤圭一氏

 主催者の挨拶として新関西国際空港 代表取締役社長CEO 安藤圭一氏は「今回の第3ターミナルは国際線専用として計画していますが、その大きな理由や狙いは3つあります。1つは、すでに関空はLCCが16社就航しており、日本の最大級のLCCの拠点空港となっています。この優位性を盤石なものにする必要があります。日本のLCC拠点空港の地位をしっかりと確保していきます。2つ目は、LCCが急成長しているのはご存じの通りかと思います。そしてインバウンドが急速に拡大しています。現在、第1ターミナルビルは年間利用旅客数で2500万人ぐらいを目指しています。第2ターミナルは400万人、今回の第3ターミナルの400万人を合わせると年間利用旅客数で3300万人の対応が可能になります。昨年度はようやく10年ぶりに2000万人を越えました。我々としては成長するアジアマーケットをしっかり捉えて、3300万人の旅客を迎える体制を作る事でアジアの成長をしっかり支える事が重要だと考えています。3つ目は、関空の成長を通じて関西経済、ひいては日本経済の活性化に大きく寄与、貢献していくことです。

 日本はアベノミクス戦略のもとで観光立国としてインバウンド2000万人に向けて成長してきています。これが地方の活性化に効果が出ています。この流れをしっかり受け止めて、この成長をしっかり関西の発展に結びつけていきたいと思います。関西は豊富な観光拠点があり、また国際戦略特区などのプロジェクトも進行しています。これを我々が一緒になって成長を加速させていきたいと思います。今回の第3ターミナルビルの建設は、単なるターミナルの建設というだけではなく、関西経済活性化の起爆剤になると確信しています。そのため、スケジュール通りに建設を進めていきます。現在、航空マーケットの拡大にともない、第3ターミナルビルは建設計画を見直し、投資額、面積を拡充しつつ2017年3月のオープンを目指して工事を進めて行く予定です」と述べた。

関西国際空港長 鏡 弘義氏

 次に挨拶した関西国際空港長 鏡 弘義氏は「2014年からこの2期島エリアで新しいエプロンの工事を進めてきました。いよいよ第3ターミナルビルの新設工事を迎えることになりました。第2ターミナルビルは2012年10月に供用開始となってから2年9月が経ちました。この間、関西国際空港は活況を呈してきております。中国をはじめとする東アジアからのインバウンドが非常な伸びを見せてきております。LCCの就航する都市の数も勢いよく増えてきております。2015年の夏ダイヤは過去最高の便数が運行される予定です。第3ターミナルビルは税関や出入国管理、検疫などを行なうCIQ施設が設置され、国際線専用となります。国内線用の第2ターミナルと合わせて、いよいよLCCの利用が活発化になり、この2期島エリアの利用拡大が図られていきます。第3ターミナルビルの竣工により、利用客の利便性も向上し、関空の利用拡大は関西経済のメリットになると確信しています。さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた国際旅客拡大の関西における試金石になってくると思います」と述べた。

 この後、安藤氏や鏡氏、樋口氏など関係者一同で鍬入れ式を行ない、第3ターミナルビルの正式な起工となった。

株式会社熊谷組 代表取締役社長 樋口靖氏

 施工主として、建設を担当する熊谷組 代表取締役社長 樋口靖氏は「工事担当は工事の安全と完成を心から決意いたします。我々は関西国際空港の工事を当初から担当しており、土木工事では造成、連絡橋の建設、建設工事は空港駅ビルと両隣の立体駐車場を担当しています。この度は第3ターミナルという関空にとっても関西経済にとっても重要なプロジェクトを担当させて頂くことを光栄に思います。全社を挙げて、安全管理、品質管理、行程管理に全力を尽くす所存です。運営中の空港での工事ということもあり、安全第一ということで取り組んでいきます。これから1年あまりの工事ですが、工事中は何かとご不便、ご迷惑をお掛けいたしますが、環境に配慮して全力で取り組んでいきます」と語った。

 なお、報道陣の取材に答えた安藤氏は「LCCの需要が急拡大しており、拡張を前倒しする必要があります。チェックイン施設や待合所の拡大、荷物用の運搬コンベアーを従来の1レーンから2レーン体制にする必要がある感じています。従来、計画していた1.1倍ぐらいの規模でスタートできるように計画を変更しています。第3ターミナルの開業は第1ターミナルの混雑開始にも寄与します。投資額は120億円を想定していましたが、1割ぐらいは増えると思います」と語った。

第3ターミナルビルの建設予定地。すでにエプロンの基礎工事が始まっている

編集部:柴田 進