ペロブスカイト材料の結晶(下部の四角錐)上を移動する新しいホール輸送材料のFDTのイメージ
ペロブスカイト材料の結晶(下部の四角錐)上を移動する新しいホール輸送材料のFDTのイメージ
Sven M. Hein Copyright: EPFL
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 スイスの大学 Ecole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL)の研究者は、変換効率20.2%と高いペロブスカイト太陽電池をこれまでより大幅に低い製造コストで作製する技術を開発したと発表。論文も学術誌「Nature Energy」に掲載された。

 ペロブスカイト型太陽電池は、最近変換効率が目覚ましく向上しているタイプの太陽電池である。最近では、21.0%という変換効率の報告もある。

 ベースとなったのは、酸化チタンと色素などから成る従来の色素増感型太陽電池だ。ぺロブスカイト型では、“色素”の代わりにペロブスカイト材料を用い、正孔(ホール)輸送(HTL)材料としてのヨウ素溶液の代わりに、Spiro-OMeTADなどの特殊材料を用いたものが多い。

 実はこのHTL材料が大きな課題だった。ここで利用するぺロブスカイト材料は鉛(Pb)と有機材料から成り安価だった一方で、HTL材料は1gでおよそ300ユーロ(4万円弱)するなど非常に高価だった。

 今回、EPFLは既存のペロブスカイト型太陽電池用HTL材料の1/5と比較的安価な材料「FDT」を用いて、変換効率20.2%を実現した。「FDTは、従来のHTL材料に比べて合成も楽で、純度も高めやすい」(EPFLのMohammad Nazeeruddin氏)という。