オレが「元ジャニーズ」という肩書きでも業界から干されない理由 by平本淳也

2014年04月05日 ジャニーズ ジュニア 平本淳也

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする

hosarenaijani.jpgジャニーズを辞めようとしている現役Jr.へのメッセージとは?

 

 狭き門を通り抜け、ようやく入れたジャニーズ事務所を自らの意志で辞めてしまう者が後を絶たない。SMAPや嵐を目指したものの、夢破れてしまった男たち。理由はひとそれぞれだが、これは非常にもったいないことだ。このオレだって、今更ながら辞めなくても良かったのではないかと少しばかり思うことがあるわけです。

 ただし、オレが在籍していた時代は、「ジャニーズはせいぜい20歳まで」といった"ジュニア定年説"があり、十代のうちにデビューするか、あるいはグループ結成という、明確な辞めない理由が無い限りは必然としてジャニーズを去るのが通例だった。そのため、多くの仲間たちが将来を真剣に考えてジャニーズ事務所を退社した。

 だが、その後に他の事務所に行こうというのは話が別だ。ジャニーズ事務所という、この上なき場所に居ながら芽が出ず、他の事務所に居場所を求めるというのは根本的に間違っている気がする。芸能界には、ジャニーズからの天下りはないからだ。

 ジャニーズに入れる「運」は万に一つの確率である。宝くじに当選するのと同じようなレベルだが、それにしたって誰でも当たるわけではない。履歴書を10年間送り続けて、一度も返事が来ないということも少なくない。また、幸運にもやっと返事が届いたとしても、面接の場ではバッサリ、アッサリと切り捨てられることも多い。

 では、ジャニーズ事務所に居場所を作れるのは、どういう人間なのか。これはよくも悪くも、ジャニー喜多川さん次第ということになる。履歴書送付から面接という手順を取ることなく、会場あるいは会場近くでジャニーさんに声をかけられて、アッサリ加入できたという例もある。結局は、ジャニーさんの目に止まらないといけないのだから、その確率の低さは天文学的な数字になる。ジャニーズ事務所は、ジャニーさんの感性によって成り立っているので、自分に自信がある志望者は、まずジャニーさんに会うことを考えたほうが近道になるかもしれない。

 そうして苦労の末にジャニーズ事務所に入ったとしても、現在の700人体制では入れ替わりも激しく、ジュニア同士の横のつながりも皆無だという。オレがいた時代と違って、定期レッスンもなく、自分がジュニアなのかさえわからない環境に嫌気をさして辞めてしまうケースが多いようだ。

 彼らも本心としては残りたいはずだ。もっと頑張りたいと思っていても、その場所と環境が与えられないのなら致し方がない。しかし、ジャニーズに入れたという時点で、彼らは選ばれた存在である。その幸運を捨ててしまうのはやはりもったいない。元KAT-TUNの赤西仁や田中聖のようなデビュー組、そこまで到達できなかったジュニア組においても、その後、芸能界で生きていく上で、「元ジャニーズ」という肩書は足枷にしかならない。そのことを、辞める前に彼らにはじっくり考えてほしい。そして、彼らには悔いのないジャニーズ生活を送ってほしいと心から思っている。

 オレの場合は、ジャニーズ在籍時代から、アイドルやタレント、エンターテイナーといった「演者」ではなく、ジャニーさんに対しての憧れが募っていった。ジャニーさんのようになりたいと考え、ジャニーズを辞めた後は制作側に徹した。それは今でも間違っていなかったと思っている。

 なにせオレは、「元ジャニーズ」という肩書を最も多く使っている男だが、それは裏方、つまり制作側の人間だから許されている部分が多い。もし、オレがタレントとして活動していたら、とっくの昔にこの業界から追い出されているだろう。とはいっても、今でもテレビをはじめ、メディアにはちょくちょく出させてもらっていることは有難いとしか言いようがない。自分にとっても心地よい居場所を作れたものだと思っている。

hiramoto.jpg

「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」

Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/

Written by 平本淳也

Photo by Nicolas Alejandro Street Photography

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする
TABLO トップ > 芸能界 > オレが「元ジャニーズ」という肩書きでも業界から干されない理由 by平本淳也
ページトップへ
スマートフォン用ページを表示する