米Amazon.comは9月28日(現地時間)、初の汎用タブレットKindle Fireの発表と同日、「Kindle Touch / 3G」という従来のKindleをマルチタッチ対応させた新製品も発表している。Kindle Touch 3GはWi-FiだけでなくAT&Tの3Gによるネットワーク通信に対応し、このサービスは無料で利用でき、149ドルという本体価格以外の追加料金は取られないようになっている。だが、この3G利用には制限があり、購入書籍のダウンロードやWhispersyncに必要な通信、そして事典用途で提供されているWikipedia以外のWebアクセスは許可されていないという。もしブラウザでWebアクセスをしたい場合、Wi-Fiへの接続が求められることになる。

9月28日に発表した「Kindle Fire」「Kindle Touch」「Kindle」(写真左から)。Kindleは、マルチタッチ非対応モデルで、従来モデルよりも30%軽く、18%小さくなった

同件を報じているArs TechnicaによればAmazon.comはKindle Touch 3Gのページで「Free 3G wireless, no annual contracts or monthly fees.」とうたっているものの、実際にはこうした制限があることを明示しておらず、ユーザーフォーラムのページでの質問の中で改めて解説を行っているという。

もともとKindleは「どこにいても購入した書籍コンテンツがプッシュ配信されてくる」という機能をセールスポイントにしており、3G通信の無料サービスはその一環で提供されていた。Webブラウザや電子メールはあくまでオマケ的な扱いであり、実際E-Inkのディスプレイや標準のプロセッサパワーでは実用に耐えるレベルのレスポンスを実現できていなかった。ところが現行世代のKindleではすでにレスポンスも大幅に向上しており、利用スタイルが汎用タブレットのそれに近付くなかで、こうした制限が加えられているものと考えられる。初期Kindleにおいて3Gの無料サービスが提供できた理由の1つに、書籍データの容量そのものが小さく、ネットワークにほとんど負荷をかけないということがある。だがWebブラウジングについてはその限りではなく、Kindleの特徴の1つである「無料3G」への制限が付与されたのだと考えられる。