科学技術計算と並列処理の発展に大きな貢献をしたGordon Bell氏を記念するGordon Bell賞という賞がある。科学技術計算の問題に対して、高いピーク性能や、高並列のスケーラビリティを達成した研究開発に対して贈られる賞である。また、高いコストパフォーマンスや新規な計算方法の開発に対して贈られる特別賞がある。

Gordon Bell Finalists

今年のSC09ではGordon Bell賞を狙う21編の論文の応募があり、その中から最終候補として選ばれた以下の9編の論文がSC09において発表された。

1. Beyond Homogeneous Decomposition: Scaling Long-Range Forces on Massively Parallel Architectures

ローレンスリバモア国立高研究所 D.Richard氏ほか
レーザー核融合において高温、高密度の重水素、3重水素プラズマにアルゴンビームを打ち込んで高速点火を行う状況を、JUGENEシステム(Top500 4位)を使ってシミュレーションし、324.8TFLOPSを達成

2. A Scalable Method for Ab Initio Computation of Free Energies in Nanoscale Systems

オークリッジ国立研究所 M.Eisenbach氏ほか
鉄の磁性化の状況を、Jaguarシステム(Top500 1位)を使ってシミュレーションし、1.836PFLOPSを達成

3. Liquid Water:Obtaining the Right Answer for the Right Reasons

オークリッジ国立研究所 E.Apra氏ほか
溶液の振る舞いを正確に理解するため、水の分子間の相互作用を量子力学レベルで解析し、Jaguarシステムを使って1.39PFLOPSを達成

4. Enabling High-Fidelity Neutron Transport Simulation on Petascale Architectures

アルゴンヌ国立研究所 D.Kaushik氏ほか
原子炉の燃料部分での中性子の輸送問題をBlueGene/PとJaguarシステムを使って解析し、75~76%の高いスケーラビリティを達成

5. Scalable Implicit Finite Element Solver for Massively Parallel Processing with Demonstration of 160K cores

レンセラー工科大 O.Sahni氏ほか
心臓の血流や航空機などの気流などの流体に解析において、28万8,000コアの場合でも95%のスケーラビリティを達成

6. 42 TFlops Hierarchical N-body Simulations on GPU with Application in both Astrophysica and Turbulence

長崎大学 浜田 剛氏ほか
NVIDIA GPUクラスタを用いて天体の重力多体シミュレーションや流体シミュレーションをN-Bodyのツリー法で解析し、158TFLOPSを達成

7. Indexing Genomic Sequence on the IBM Blue Gene

IBM T.J.Watson研究所 A.Gothing氏ほか
巨大な遺伝子シーケンスデータの並列検索のためのインデックス作成方法を改善し、1024プロセサのBlueGene/Lシステムでヒトゲノムのインデックスを15分以下で作成

8. The Cat is Out of the Bag: Cortical Simulations with 10^9 Neurons、 10^13 Synapses

IBM Almaden研究所 R.Ananthanarayanan氏ほか
人間の大脳皮質の1%程度に相当する10億個のニューロンと10兆個のシナプスからなるモデルを作成し、3万2,000コアのBlueGene/Pシステムを使って実物の1/50の速度でシミュレーションを実行

9. Millisecond-Scale Dynamics Simulations on Anton

D.E.Shaw Research D.E.Shaw氏ほか
最近完成したMD(分子動力学)計算専用スパコンであるAntonを用いて、標準ベンチマークである2万3,558原子からなる分子を10.4マイクロ秒/日でシミュレーション。これは従来のシステムに比較して2ケタ程度高速である。