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アップル、全面ディスプレイ「iPhone X」とスタンダードな「iPhone 8/8 Plus」を発表

iPhone X

 アップルは現地時間9月12日(日本時間9月13日未明)に発表会を開催し、iPhoneシリーズ「iPhone X(アイフォーン テン)」と、「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」、Apple WatchやApple TVの新製品を発表した。

 「iPhone X」はまったく新しいデザインのモデル。Galaxy S8シリーズのような狭額縁のデザインで縦横比が約19.5:9のディスプレイを採用する。2色2容量の4モデルで、Apple StoreにおけるSIMロックフリー版の価格は11万2800円と12万9800円。10月27日に予約受け付けを開始し、11月3日に発売される。

iPhone X

 「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」は従来のiPhoneの流れを汲むスタンダードなモデル。それぞれ3色2容量の6モデルがラインナップされ、Apple StoreにおけるSIMロックフリー版の価格はiPhone 8が7万8800円(価格は税別、以下同)と9万5800円、iPhone 8 Plusが8万9800円と10万6800円。9月15日に予約受け付けを開始し、9月22日に発売される。

iPhone 8とiPhone 8 Plus
アップルオンラインストアの価格
モデルカラー容量別価格(税抜)
iPhone Xシルバー
スペースグレー
64GB:11万2800円
256GB:12万9800円
iPhone 8シルバー
ゴールド
スペースグレー
64GB:7万8800円
256GB:9万5800円
iPhone 8 Plusシルバー
ゴールド
スペースグレー
64GB:8万9800円
256GB:10万6800円

 また、9月19日よりiPhone・iPad向けにiOS 11が配信されることも発表された。Apple Watch向けのwatchOSも同時に更新される。iOS 11の対応機種はiPhone 6やiPhone 5s以降のiPhoneとiPad Air以降のiPad/iPad mini/iPad Pro、第6世代のiPod touch。

iPhone初の「上位モデル」となるiPhone X

 iPhone Xは新しいデザインを採用したiPhone。

 Galaxy S8シリーズなどと同様の、上下左右ともに狭額縁でより細長い縦横比のディスプレイを採用する。ディスプレイ解像度は2436×1125ピクセルで、縦横比は約19.5:9。ピクセル密度は458ppiとなり、Retinaディスプレイ標準の326ppi、Plusシリーズ独自の401ppiとも異なっていて、「Super Retina HDディスプレイ」と呼ばれている。

 iPhoneシリーズとしては初めて有機ELを採用していて、コントラスト比が1,000,000:1(液晶採用のiPhone 8は1,400:1)と格段に向上し、HDRにも対応する。また、色域や色再現性の高いTrue Toneディスプレイとなっていてる。最大輝度は液晶モデルと同等の625cd/m^2で、3D Touchにも対応する。

 ディスプレイ上部側はインカメラや顔認証用のセンサ類やスピーカー、マイク、環境光センサなどが内蔵される部分だけ凹んだデザインで、四隅も直角ではなく丸みを帯びているなど、ディスプレイの形状は四角形ではなくなっている。上部の凹んでいる部分の左右のエリアがステータスバー代わりになっていて、通常時はそこに時計や電波状況、バッテリ残量などが表示される。

 デザインは一見するとiPhone 8などに近いラウンドフォルム形状で、前面と背面がガラス、側面が医療機器グレードのステンレススチール。カラーバリエーションはスペースグレイとシルバーの2色のみ。

 ディスプレイは細長くなっているため5.8インチと対角サイズが長くなっているが、サイズ感はiPhone 8 PlusよりもiPhone 8に近い。サイズは143.6×70.9×7.7mmで重さは174g。iPhone 8に比べると長さが5.2mm、幅が3.6mm、厚さが0.4mm大きく、重さは26g増となる。

 狭額縁デザインにより前面がほぼ全面ディスプレイとなっていて、ホームボタンなどは省略されている。これによって各種操作が変更されていて、たとえば「画面下部から上に向けてスワイプする」とホーム画面表示、「画面下部から上に向けてドラッグして止める」とマルチタスク画面表示、「画面右上などから下にスワイプする」とコントロールセンター表示、「サイドボタン(従来の電源ボタンに相当)長押し」でSiri起動、「サイドボタンの2回押し」でApple Pay起動などとなっている。

 ホームボタンがなくなったことで、Touch IDも省略された。代わりの生体認証機能として、顔を立体的に認識する「Face ID」が搭載される。Face IDはディスプレイ上部に搭載される「TrueDepthカメラ」で瞬時に顔の立体形状を識別する。TrueDepthカメラは赤外線のドットを投影するドットプロジェクタと赤外線カメラ、赤外線投光イルミネーターを組み合わせたもの。顔のパターンデータはTouch IDの指紋データ同様にプロセッサ内のセキュア領域に保存される。登録された人物は、メガネや帽子を着用したり髪型やヒゲが変わっても認識できるという。

 Face IDは認証ユーザーがiPhoneを見ているときだけしかロックを解除できず、通知もユーザーが見ているときだけ表示したり、画面を見ているあいだは照度を下げず、通知音を小さくするといった機能も搭載する。

 Face IDのセキュリティ性能は指紋認証よりも高いという。認証速度や精度、識別できる範囲などの詳細は原稿執筆時点で不明だが、発表会のデモでは、最初の認証に失敗していた。一般的なスマートフォンの顔認証は、インカメラの画角内、画面に正対した位置に顔がないと認識されないが、デモビデオでは正面からやや離れた位置でも認識する様子が映し出されていた。

 Face IDは従来のTouch ID同様にApple PayやApple IDのパスコード入力の代替、サードパーティアプリのロック解除などにも利用できる。

 TrueDepthカメラと通常のインカメラと組み合わせ、自撮りでもポートレートモードやポートレートライティング機能を利用できる。また、顔の筋肉の動きをリアルタイムで解析し、12種類の絵文字キャラクターの表情モーションを音声と同時に記録してiMessageで送るという「Animoji」機能も搭載される。

 背面側のカメラはデュアルカメラとなっている。iPhone 8 Plusでは横に2つ並んでいるが、iPhone Xでは縦に2つ並ぶ。iPhone 8 PlusやiPhone 7 Plusと同様に、カメラは標準の広角と2倍望遠の構成で、ポートレートモードなどが利用できる。両方のレンズが光学手ぶれ補正に対応するなど機能が強化されている。

 プロセッサはA11 Bionicで、内部スペックはiPhone 8とほぼ同等。防水防塵やFeliCa、802.11acのWi-FiやBluetooth 5.0、リーダーモードのNFC、VoTEなどに対応する。内蔵ストレージのサイズは64GBと256GBの2モデルが用意される。

 イヤホンジャックは内蔵せず、イヤホンはLightningアダプタなどを使って接続する。後述するiPhone 8同様にワイヤレス充電(Qi準拠)や高速充電にも対応。電池の持ちはiPhone 7よりも最大2時間長くなっているとしている。

 対応LTEバンドの違いで欧米モデル(A1865とA1901)と日本モデル(A1902)がある。製品紹介ページによると日本モデルの対応LTEバンドは1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、34、38、39、40、41、42、66。iPhone 7に比べると新たにバンド42(日本の各社が採用する3.5GHz帯のTD-LTE)に対応する。LTEの最大通信速度は800Mbps。LTEの最大通信速度は800Mbps。

【訂正 2017/9/13 13:36】
 記事掲載後、アップルのWebサイト上で、iPhone XのLTE対応バンドの内容が変更されました。本文は修正済です。

順当な進化を遂げたiPhone 8/8 Plus

 iPhone 8とiPhone 8 Plusはスタンダードなモデルで、iPhone 7などと同じく、4.7インチと5.5インチの2モデルがラインナップされる。

 デザイン面ではiPhone 7と似たラウンド形状だが、iPhone 7が側面・背面がつながった金属ケースであるのに対し、iPhone 8では背面がガラス、側面がアルミ合金となっている。背面がガラスで側面が金属のデザイン構成は、iPhone 4/4sでも採用されていた。背面がガラスになったことで、非接触充電(Qi規格準拠)にも対応する。前面と背面にはより強化されたカスタムガラスが採用される。

 カラーバリエーションはゴールド、シルバー、スペースグレイの3色に減っている。

 大きさも若干変わっていて、iPhone 8は138.4×67.3×7.3mmで重さ148g、iPhone 8 Plusは158.4×78.1×7.5mmで重さ202g。iPhone 7とiPhone 8を比べると、幅と厚みが0.2mm、長さが0.1mm大きくなり、10g重たくなる。iPhone 7 PlusとiPhone 8 Plusを比べると、各寸法が0.2mmずつ大きくなり、14g重たくなる。

 ディスプレイは4.7インチ(1334×750ピクセル)と5.5インチ(1920×1080)で、解像度やアスペクト比はiPhone 7と同等。iPad Proで採用されている広い色域に対応した「True Toneディスプレイ」をiPhoneとしては初めて採用する。引き続き3D Touchにも対応する。

 スピーカーも強化されていて、より低音に強いステレオスピーカーを搭載する。一方でiPhone 7同様にイヤホンジャックは搭載せず、有線イヤホンはLightning変換アダプタなどを使って接続する。

 背面のカメラはiPhone 8が1個、iPhone 8 Plusが2個のデュアルカメラと、iPhone 7と同様の構成。解像度などは一緒だが、センサーは新しくなっているという。iPhone 8 Plusのデュアルカメラは、従来同様に片方が通常広角、片方が2倍望遠となっている。

 デュアルカメラを使ったポートレートモード(人物写真撮影時に背景をぼかしたりする機能)はiPhone 7 Plus同様に搭載しているが、新たに顔を認識してスタジオ風のライティングを再現するポートレートライティングという機能がベータ版として搭載される。

 ビデオ撮影では、ビデオエンコーダーや画像処理プロセッサをアップル自身が新たに設計するなどしたことで、4Kの60fps撮影やフルHDの240fps撮影などに対応している。

 搭載プロセッサは「A11 Bionic」という最新のものとなる。6コア構成で、A10より25%高速な2つのパフォーマンスコアとA10より70%高速な4つの高効率コアから構成され、アップルによる第2世代のパフォーマンスコントローラにより、マルチスレッド処理が70%高速化している。また、GPUはA10よりも30%高速化しつつ、消費電力は半減している。プロセッサの高速化や最適化により、ARアプリやアップルのフレームワーク「Metal 2」や「Core ML」のパフォーマンスが向上する。

 新たにQi規格準拠のワイヤレス充電に対応するほか、30分で最大50%を充電できるという高速充電にも対応する。電池の持ちはiPhone 7とほぼ同等。ワイヤレス充電については、2018年にアップル独自のワイヤレス充電パッド「AirPowerマット」が発売される。AirPowerマットはiPhoneやApple Watch、新しいAirPodsケースを同時に置いて充電する機能がある。

 Touch IDや3D Touch、防水防塵などの機能は引き続き対応する。NFC機能としては、iPhone 7同様にSuicaなども使えるFeliCaを内蔵するほか、新たに「リーダーモード対応NFC」となった。無線通信としては、802.11acのWi-FiとBluetooth 5.0に対応する。内蔵ストレージの容量は64GBと256GBの2モデルが用意される。

 対応LTEバンドの異なるモデルが4種類用意される。たとえばiPhone 8は、北米など向けのA1863(GSM)とA1863(CDMA)、欧州などグローバル向けのA1905、日本専用モデルのA1906。

 日本専用モデルの対応LTEバンドは、。iPhone 7(日本専用モデル)と比較すると、バンド27がサポート外となり、バンド34(2GHz帯のTD-LTE)とバンド42(3.5GHz帯のTD-LTE)、バンド66(AWS帯のFDD-LTE)が新たにサポートされる。

 日本では各キャリアがサービス中、あるいはサービス予定のバンド42は、日本専用モデルのみの対応となる。このほか、NTTドコモの1.5GHz帯であるバンド21やauとソフトバンクの1.5GHz帯であるバンド11はiPhone 7から引き続き日本専用モデルのみでサポートされる。

 LTEの通信速度は「最大800Mbps」とアナウンスされている。このほかにも引き続きGSM/UMTS/CDMA/TD-SCDMAやVoLTEに対応する。

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