アップルが特許訴訟で勝利、サムスンに825億円支払い命令

アップルが特許訴訟で全面勝利、サムスンに10.5億ドル支払い命令
8月24日、米アップルと韓国のサムスン電子の特許訴訟は、米陪審員が評決を下し、サムスンの電話機がアップルの一部特許を侵害したことを認めた。写真はアップルのiPhoneとサムスンのGALAXY(2012年 ロイター/Michael Kooren)
[サンノゼ(米カリフォルニア州) 24日 ロイター] スマートフォン(多機能携帯電話)などの特許侵害をめぐり米カリフォルニア州連邦地裁で争われていた米アップルと韓国サムスン電子<005930.KS>の訴訟は24日、陪審団の評決が発表され、アップルが勝訴した。
陪審団はアップルの一部の特許が侵害されたと判断し、10億5100万ドルの損害を認定した。
評議ではアップルの特許7件、サムスンの特許5件について検討されたが、開始から3日足らずで評決に達したことから、陪審員9人はほぼ問題なく結論に至ったとみられている。
サンタクララ法科大学院のブライアン・ラブ教授は、評決はアップルにとって大勝利と指摘。「アップルが期待したと考えられるベストシナリオ」と述べた。
陪審団はサムスンがアップルの特許7件のうち、スクロール・マルチタッチやズーム・ナビゲートなど6件をサムスン電子が侵害したと判断した一方、アップルがサムスンの特許を侵害しているとするサムスンの訴えは退けた。また、アップルの特許の正当性を支持し、一部のアップルの特許についてはサムスンが意図的に侵害したと認定した。「意図的」侵害が認定されたため、判事が最終的に下す損害賠償額が3倍に膨らむ可能性がある。
アップルの弁護士は評決の発表後、サムスン電子の一部製品の販売差し止めを今後7日以内に申請する計画を明らかにし、判事は販売差し止めに関する審問日を9月20日に設定した。
サムスン電子は評決を受け、イノベーション(技術革新)を阻害し、価格の押し上げにつながるため、「米国の消費者にとっての損失だ」とする声明を発表。「評決は今回の訴訟あるいは世界中の裁判所や法廷で繰り広げられている戦いの最後の言葉ではない。一部の訴訟ではアップルの多くの主張が既に退けられている」と指摘した。
アップルの勝利は、特許侵害が認定されたサムスン電子の製品に使われている基本ソフト(OS)「アンドロイド」を開発した米グーグルにとって大きな打撃となる。
ただ、アップルとサムスンはライバルであると同時に、サプライチェーン面では緊密な関係がある。アップルはサムスン製マイクロプロセッサー、その他部品の主要顧客でもある。
アップルとサムスンの訴訟は世界各国で繰り広げられており、韓国の裁判所は24日、サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシー」はアップルの「iPhone(アイフォーン)」と外観がよく似ているものの、サムスンによるデザインの侵害はなかったとの判断を示し、アップルに対してはサムスンのワイヤレス技術に関する特許2件を侵害したとして4000万ウォン(3万5400ドル)の支払いを、サムスンに対しては、電子文書をスクロールする際に使う機能に関するアップルの特許1件を侵害したとして2500万ウォンの支払いを、それぞれ命じた。
24日の米国株式市場終了後に発表された評決を受け、アップル株は時間外取引で約2%上昇し、最高値の675ドルをつけた。
*内容を追加します。

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