米中戦略・経済対話開幕、議論に人権問題が影落とす

米中戦略・経済対話開幕、議論に人権問題が影落とす
5月3日、米中戦略・経済対話が北京で始まった。中国の胡錦濤・国家主席は開幕に際して、米中両国が信頼関係の構築に努めることが重要との考えを表明。写真は開幕式で演説する国家主席。後方はクリントン米国務長官(2012年 ロイター/Shannon Stapleton)
[北京 3日 ロイター] 米中戦略・経済対話が3日、北京で始まった。中国の胡錦濤・国家主席は開幕に際して、米中両国が信頼関係の構築に努めることが重要との考えを示した。
今回は、中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏の処遇問題に両国が取り組む中での開催となった。
クリントン米国務長官は冒頭、中国に対し人権を尊重するよう求めた。ただ、陳氏については言及しなかった。
クリントン長官は「もちろん対話の中で、米国は人権と基本的自由の重要性を提起する」とし、「あらゆる政府は、尊厳と法の支配を求める市民の切望に応えなくてはならない。いかなる国もそのような権利を否定してはならない」と強調した。
さらに、イランや北朝鮮の核開発問題などで協力を求めた。
ガイトナー米財務長官は、人民元相場の上昇を容認するよう中国政府にあらためて求め、元が上昇すれば、先行きの経済成長とインフレの変化に対応する上で柔軟性が増すと主張した。
中国人民銀行(中央銀行)は先月、米ドルに対する人民元の変動幅を現行の基準値の上下0.5%から同1%に拡大すると発表した。
ガイトナー長官は、中国政府のこれまでの取り組みを歓迎するとしながら、「人民元が一段と強く、より市場志向になれば、高付加価値生産への移行や金融制度改革、内需促進といった中国の改革目標の強化に役立つ」と述べた。
また、中国には、米政府が求める経済・金融改革に対応できる十分な力があるとの認識を示し、世界貿易の繁栄のため、両国の企業は平等な立場で競争すべきだと強調した。
一方、中国の陳徳銘商務相は、中国の対米貿易収支が黒字なのは、米国が中国向け輸出を規制しているためだと指摘。米中間に輸出規制が多過ぎれば、2国間の貿易を均衡させるのは難しいと述べた。

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