米スプリント 株主、ソフトバンク による買収案承認

[オーバーランドパーク(米カンザス州) 25日 ロイター] - 米通信大手スプリント・ネクステル は25日の株主総会で、ソフトバンク が新たに示した216億ドルの買収案を賛成多数で承認した。
ソフトバンクはスプリント株の78%を取得する。スプリントによると、発行済み株式のおよそ80%を保有する株主がソフトバンクによる買収額引き上げを支持した。
今後、米連邦通信委員会(FCC)の承認が得られれば、買収が成立する。
スプリントは、引き続き7月初旬の買収完了を目指すとしている。
スプリントをめぐっては、米衛星放送サービス会社ディッシュ・ネットワーク も対抗買収案を提示、ソフトバンクとの買収合戦に発展していた。
ソフトバンクは10日、スプリント買収額を従来の201億ドルからディッシュ案を上回る216億ドルへと引き上げ、このうちスプリント株主への資金配分も45億ドル上積みした。これを受け、それまでディッシュ案を支持していたスプリントの主要株主である投資会社ポールソンがソフトバンク支持へと回った。
その後、ディッシュは新たな対抗案の提示を見送っており、今回の株主承認で、両社の買収合戦はソフトバンク勝利で決着した。
ソフトバンクによるスプリント買収は、日本企業による海外企業買収案件としては過去最大となる見込み。ソフトバンクの孫正義社長は、成熟した国内携帯市場から海外へと活路を求める。
スプリントの元職員で株主総会に出席したリック・ワイヤー氏は、ソフトバンクの勝利で決着したことについて「長期的にみて、スプリントにとって好ましい」とロイターに語った。
カンザスシティー在住のジョン・マスマン氏は、ソフトバンクの財務力の強さを評価して賛成票を投じたことを明らかにした。外資の傘下に入ることを強く支持するわけではないとした上で、ディッシュ・ネットワークによる買収が成立していれば、スプリントは多額の債務を抱えることになり、スプリントの事業がカンザスシティーからデンバー近郊にあるディッシュ本社に移る可能性があったとの見方を示した。
スプリントは、ソフトバンクからの出資金をネットワークの整備やクリアワイヤ の完全子会社化のための資金に充てる方針。
スプリントはクリアワイヤ買収をめぐってディッシュ・ネットワークと争っており、前週、ディッシュの買収案に対抗するため、提示額を1株3.40ドルから5.00ドルに引き上げた。
クリアワイヤは7月8日に臨時株主総会を開き、買収案の採決を行う。

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