米2月個人消費支出0.1%増、物価圧力強まる

[ワシントン 31日 ロイター] - 米商務省が31日発表した2月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.1%増と、昨年8月以来の小幅な増加にとどまった。市場予想の0.2%増も下回った。政府が不正対策の一環で税還付を遅らせたことが影響した。一方、物価上昇圧力は強まっており、今年さらなる利上げがあることを示唆した。
個人消費は米経済の3分の2以上を占める。1月は0.2%増のまま改定はなかった。
2月は自動車などの耐久財が0.1%減。季節外れの暖かい気候だったことで暖房の支出も減った。
軟調な個人消費支出は国内総生産(GDP)が今年の第1・四半期に一段と鈍化した可能性を示唆する。昨年第4・四半期のGDPは年率2.1%増で、好調だった第3・四半期の3.5%増から減速した。
経済成長が緩慢となる兆しが見える中でも、米連邦準備理事会(FRB)は、今年あと2回利上げする見込みだ。FRBは3月に政策金利を0.25%ポイント引き上げた。
消費者信頼感が16年ぶりの高い水準にあることに加え、労働市場の引き締まりを背景に賃金の上昇率は加速しており、個人消費の弱含みは一時的とみられる。経済成長は年初に減速したかもしれないが、物価は上昇している。
ウェルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、ユジェニオ・アレマン氏は「天候要因を背景とする公益関連支出の弱含みや低中所得者向けの税還付の遅れを考慮すると、個人消費は今後数四半期に持ち直すだろう」と話す。
個人消費支出(PCE)物価指数は0.1%上昇した。1月は0.4%上昇していた。2月の前年同月比は2.1%上昇と、2012年4月以来4年10カ月ぶりの高い伸びとなった。1月は1.9%上昇だった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は2月が前月比0.2%上昇。1月は0.3%上昇していた。2月の前年同月比は1.8%上昇。1月も同じ伸び率だった。
FRBが物価上昇率の目安として注目しているコアPCE価格指数の前年同月比は目標の2%を下回り続けているが、物価はFRB当局者が年内に到達すると3月に予測したレンジの上限にある。
RDQエコノミクスのチーフエコノミスト、ジョン・ライディング氏は「今回の統計で、6月にFRBが金融政策の緩やかな正常化を中断すべきと示唆するものは何もない」とし、FRBは今後2カ月のコアインフレ動向を見極めた上で決定するだろうとした。
物価上昇圧力も個人消費を抑制要因となっている。インフレ調整後の個人消費は0.1%減だった。1月は0.2%減だった。実質ベースで2カ月連続のマイナスとなるのは2009年4月以来。個人消費は昨年の第4・四半期に3.5%増と底堅く伸びたが、今年第1・四半期は急減速したもようだ。
2月の個人所得は前月比0.4%増。1月は0.5%増加していた。2月の賃金・給与は0.5%増と、5カ月ぶりの大幅な伸びとなった。
2月のインフレ調整後の可処分所得は0.2%増加した。1月は0.1%減だった。
2月の貯蓄は8080億ドルと5カ月ぶりの高水準だった。1月は7709億ドルだった。

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