総務省は2009年7月7日,「情報通信審議会 電気通信事業政策部会 接続政策委員会」の第7回会合を開催し,「MNO(移動体通信事業者)がMVNO(仮想移動体通信事業者)になるローミング」について,事業者間で合意していない場合は原則禁止で検討していく方向性を打ち出した。「MNOは自ら基地局などの設備投資を行うのが義務である」という考え方に基づき,例えば過疎地域での基地局整備や高トラフィック地域での設備増強を怠っているMNOが,3.9G同士など同一市場で競合するMNOが整備したネットワークを低廉な料金で利用してサービス提供することは,「接続の拒否事由に該当すると整理することが適当ではないか」などとする考えを示した。

 加えてソフトバンクが求めていた,800MHz帯を利用する携帯電話事業者(NTTドコモとKDDI)へのローミング義務付けについては,「必要性が乏しいのではないか」とした。その理由として,2GHz帯を利用するソフトバンクモバイルのシェアが拡大傾向にあること,ソフトバンクモバイルの人口カバー率が99.98%と高い数字であることを挙げている。

 一方,事業者間で合意しており,競争促進や利用者の利便性が向上する場合は,MNOによるMVNO化は許容できるとした。その例として,携帯電話事業者がWiMAXサービスを提供するなど異なる市場のサービスを提供する場合や,新規参入したMNOが基地局を全国展開するまで,暫定的に利用する場合,トラフィックがひっ迫しているMNOが自社ネットワークを増強するために一時利用する場合を挙げている。