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 平成16年版 犯罪白書 第2編/第5章/第5節 

第5節 恩赦

 恩赦は,裁判によらないで刑罰権を消滅させ,あるいは裁判の内容・効力を変更又は消滅させる制度であり,大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権の5種類がある。
 恩赦は,これを行う方法で分けると,[1]政令で罪の種類,基準日等を定め,該当する者に対して一律に行われる政令恩赦(大赦,減刑及び復権)と,[2]特定の者に対して個別的に審査した上で行われる個別恩赦(特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権)とに区別される。さらに,個別恩赦には,常時行われる常時恩赦と,内閣の定める基準により,一定の期間を限って行われる特別基準恩赦とがある。
 恩赦の効力は,政令恩赦の場合,政令の施行日に効力が発生する。個別恩赦は,まず,検察官,行刑施設の長又は保護観察所の長が中央更生保護審査会に恩赦の上申をし,これを同審査会が審査して,恩赦を相当とした場合には,法務大臣に恩赦の申出を行い,これに対し,内閣が恩赦を決定し,次いで,天皇が認証すると,恩赦が効力を生ずる。
 平成15年中に行われた恩赦は,常時恩赦だけである。2-5-5-1表は,同年に内閣が恩赦を決定した者について上申者別及び種類別に見たものである。刑の執行の免除は16人,復権は64人であった。
 刑の執行の免除は,主として無期刑仮出獄者が更生したと認められる場合に,保護観察を終了させる措置として行われており,復権は,更生したと認められる者が前科により資格を喪失し又は停止されていることが社会的活動の障害となっている場合に,その資格を回復させるものである。いずれも,これらの者の社会復帰を促進する刑事政策的役割を果たしている。

2-5-5-1表 常時恩赦の上申者・種類別決定人員