日本食品微生物学会雑誌
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調査
東京都内に流通する牛内臓肉からの糞便系大腸菌群,ベロ毒素産生性大腸菌,Campylobacter jejuni/coli, SalmonellaおよびListeria monocytogenes検出状況
下島 優香子井田 美樹西野 由香里石塚 理恵黒田 寿美代仲真 晶子平井 昭彦貞升 健志甲斐 明美
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2015 年 32 巻 4 号 p. 209-214

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抄録

2010~2013年に都内の食肉処理場および小売店で購入した牛内臓肉104検体について,糞便系大腸菌群,VTEC,C. jejuniC. coliSalmonellaおよびL. monocytogenesの調査を行った.
その結果,糞便系大腸菌群は, 85検体(81.7%)が陽性であった.VTECは25検体(24.0%)から31株検出された.そのうち1検体は糞便系大腸菌群陰性であった.血清群O157は 17検体(18株),O26が1検体(1株),O103が1検体(1株),その他の血清群(O1,O28,O91,O153,OUT)が7検体(11株)から検出された.付着遺伝子保有状況を調べた結果,eaeは血清群O157,O26,O103の20株が陽性,saaは血清群O28,O153,OUTの5株が陽性であった.aggRはすべての株が陰性であった.C. jejuniは42検体(40.4%)から50株,C. coliは16検体(15.4%)から16株が検出された.Salmonellaは4検体(3.8%)から5株検出され,血清群はO4群が4株(いずれも血清型Derby),O3, 10群が1株(血清型Amsterdam)であった.L. monocytogenesは22検体(21.2%)が陽性であった.
以上の結果から,牛内臓肉は腸管出血性大腸菌を含む食中毒菌に高率に汚染されていることが明らかとなった.

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© 2015 日本食品微生物学会
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