日本外科系連合学会誌
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特別寄稿
黒い皮膚腫瘍の鑑別―メラノーマを見逃さないために―
田中 勝
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2011 年 36 巻 4 号 p. 583-588

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抄録

 早期メラノーマの診断は難しく,肉眼で母斑や老人性色素斑と区別できない.メラノーマの93%はde novoに生じる.メラノーマの診断には,後天性母斑,つまりClark母斑(平坦か扁平隆起),Miescher母斑(半球状,顔に多い),Unna母斑(いぼ状,頭と首に多い),Reed/Spitz母斑(子供に多い)を知ることが重要である.先天性母斑と青色母斑はあまり問題にならない.母斑の典型像と異なればメラノーマを考える.色素細胞病変以外に,脂漏性角化症,基底細胞癌,血管病変も肉眼的には鑑別困難であるが,ダーモスコピーでは鑑別しやすい.ダーモスコピー診断は2段階に分けるとわかりやすい.まずメラノサイト病変かどうかを判断し,続いて非メラノサイト病変を順番に考える.メラノサイト病変の可能性が高ければ,第2段階で色と構造の分布が規則的か不規則かを考え,メラノーマか母斑かを判定する.

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