Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
当院におけるアニサキス症の現況とl-メントール補助下の虫体摘出
椎名 正明國分 茂博
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2015 年 87 巻 1 号 p. 49-52

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抄録

消化管アニサキス症は急性腹症の鑑別診断として重要である.我々は2012年8月から2015年4月までの間に10例のアニサキス症を経験した.内訳は男7例,女3例で,うち2例は健診例(無症状)であった.年間を通じて,ほぼ全ての年齢層に発生していた.有症例では心窩部痛が主症状であり,被疑食品はサバが最頻度であった.摂食から発症までは2〜7時間であり,発症から内視鏡までは8〜72時間を要していた.迷入したアニサキス虫体は,いずれも内視鏡下にて生検鉗子で摘出され,うち3例では蠕動運動抑制薬であるl-メントールが使用された.日本人の食生活と嗜好上,アニサキス症の完全な予防は困難であり,治療としては内視鏡下の虫体摘出が唯一確実な方法である.問診やCT所見にて疑わしい場合は,積極的に内視鏡検査をすることが望ましい.また,可動性虫体の摘出にあたっては,l-メントールの虫体への直接散布が有用な可能性がある.

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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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