2011 年 22 巻 3 号 p. 153-161
何世紀にも渡ってモンゴルの遊牧民は非常に多種の伝統的発酵食品を作り続けている。モンゴルの伝統的なアイラグ(馬乳酒)は、馬乳を原料に固有の乳酸菌による発酵と酵母によるアルコール発酵とによって作られる。アイラグばかりでなくタラグ(ウシ、ヤク、ヤギあるいはラクダなどの家畜の乳で作られたヨーグルト)は古来からモンゴル人の栄養源として重要な役割を演じてきた。これまで、モンゴルの伝統的発酵乳のプロバイオティクスとしての有用性を評価する目的で多くの研究がある。本稿ではモンゴルの伝統的発酵乳のアイラグとタラグにおける乳酸菌と酵母の多様性について概説する。