楽天は今年7月1日、約2年間の移行期間を経て、社内公用語の英語化に踏み切った。その狙いや意義について聞いた。

楽天会長兼社長 三木谷浩史<br />社内公用語の英語化で目指す<br />“ネット業界の野茂英雄”Photo by Kazutoshi Sumitomo

──英語化の効果は。

 まずは世界中から優れた人を採用できるようになったことだ。実際、新卒採用はすでに約30%が外国人だし、そのうち技術者だけを見れば約50%が外国人だ。

 社内でグローバルにノウハウが共有できるという効用も大きい。

 また、社内システムについても日本語、英語の二つを持つ必要がなくなる。これにより、単にコスト面だけでなく、一つのルールで統治できるというガバナンス面での効果も期待できる。

 加えて、企業買収などでも英語化のメリットがある。日本企業に買収されることに抵抗がある企業は少なくない。だが、当社の公用語英語化は世界中のインターネット企業が知っており、今ではグローバル企業と認識されている。

──今後、社員に占める外国人の比率はさらに上がっていくのか。

 海外市場の成長率が高いことから、当然そうなるだろう。

──日本に本拠地を置く必要性は薄らいでいくのではないか。

 そうではない。日本の価値観や日本人の勤勉さやおもてなしの心というのが、当社の根幹だ。それ故、将来も、本拠地が日本であることに変わりはない。

 とはいえ、例えば、マーケティング機能はシンガポール、ブランディングはニューヨーク、デザインはロサンゼルス、技術の最先端についてはカリフォルニアなど、グループの機能がグローバルに広がっていく可能性は高い。