2014年5月29日(木)
バンダイナムコゲームスより、PS Vita用アクション『魔法科高校の劣等生 Out of Order(アウトオブオーダー)』の情報が公開された。
▲作画:長森佳容(yoshihiro nagamori)、仕上げ:野口幸恵(yukie noguchi)、特殊効果:イノイエシン(shin inoie) |
『魔法科高校の劣等生 Out of Order』は、佐島勤先生が執筆(イラストは石田可奈先生)する電撃文庫『魔法科高校の劣等生』を原作にした“戦略級の魔法対戦アクション”。ストーリーはゲームオリジナルのものとなっており、魔法科高校の日常から非日常まで様々な面が楽しめるゲームになるという。
第1報となるこの記事では、ゲーム紹介に加えて、佐島勤先生のコメントや制作陣へのインタビューをお届けしていく。ファンは最後までお見逃しないように。
本作のストーリーは、佐島勤先生の監修によって作られたもので、マルチエンディングとなっている。現状で明らかになっていることとして、ストーリーには“アウトオブオーダープロジェクト”なるものが深くかかわりを持っているらしい。
▲物語の舞台となるのは、達也たちが通う国立魔法大学付属第一高校。エリカの言う“犯人”とは一体? |
▲エリカたちと戦闘が!? どういう展開で戦うことになるのか気になるところだが……。 |
続いて、アクション部分を紹介していこう。本作では3Dで作られたフィールド内を自由に移動し、魔法を駆使した戦いを繰り広げていくことになる。もちろん原作に登場する魔法もゲーム内に登場するので、どのような演出で魔法が表現されるのか、ファンは楽しみにしていてもらいたい。
▲こちらが本作の3Dアクションシーン。右のスクリーンショットは、達也が圧縮空気弾を放っているところ。 |
▲深雪が走っているところ。足もとには魔法陣が展開されている。右は、極寒と灼熱で相手にダメージを与える高難度の魔法“インフェルノ”を発動したところ。 |
▲他には壁を駆け上がる様子などが公開されている。高低差を生かしたアクションにも期待できそうだ。 |
国立魔法大学付属第一高校の1年生。入試の筆記試験では前代未聞の高得点を記録するが、“ある欠陥”のため実技試験は及第点すれすれ。ウィード(雑草)と揶揄(やゆ)される二科生として入学する。所属クラスは1年E組。CADの設計など技術系分野を得意とする。
■CAD(シー・エー・ディー)とは……魔法を発動するための起動式が記録された、魔法発動を簡略化・高速化するデバイス。呪文や呪符などの伝統的な手法・道具に代わる現代魔法師に必須のツールである。正式名称は“術式補助演算機(Casting Assistant Device)”。
一般には“CAD”、“デバイス”と呼ばれることが多い。形状は様々で、大きく分けて“特化型”と“汎用型”の2つがある。
▲達也の使用するCADは、拳銃形態の特化型CADとなっている。 | ▲深雪はこちらの汎用型CADを使用する。 |
達也の妹で、所属は1年A組。魔法の才能に優れ、第一高校に主席で入学した。ブルーム(花冠)と呼ばれる一科生の中でも才色兼備のエリートである。唯一の愛すべき欠点は、重度のブラコンであること。達也を“お兄様”と呼び、慕っている。冷却魔法を得意とする。
本作の制作に携わる3人のキーマンにインタビューを敢行した。インタビューに答えてくれたのは、本作のプロデューサーの1人であるバンダイナムコゲームスの武田達弥氏、ゲーム制作を担当するウィッチクラフトの白井兼太郎氏、そして原作小説の編集を担当する三木一馬電撃文庫MAGAZINE編集長の3人。
どんな経緯でゲーム制作が始まったのか、そしてどんなゲームを目指しているのかなどの話を伺ったので、ぜひチェックしてもらいたい。
▲左から白井兼太郎氏、武田達弥氏、三木一馬電撃文庫MAGAZINE編集長。 |
――『魔法科高校の劣等生 Out of Order』は、どのような経緯でゲーム化が決まったのでしょうか?
武田:書店で『魔法科高校の劣等生』を見かけて、それを手に取ったことがそもそもの始まりです。僕自身、学生のころは劣等生でして、タイトルの“劣等生”にひかれるところがあったんですよ。そしてそのまま文庫を手にとって読んでみたら、内容もおもしろくて、もう1人のプロデューサーである二見(※『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』などを手がけているバンダイナムコゲームスの二見鷹介プロデューサー)にゲーム化のプッシュをしたんです。
もしかしたらその前から二見が三木さんにお願いしていたのかもしれませんが、ゲーム化の話が現実的になってきた時に、ぜひやらせてくださいと、手を挙げさせてもらいました。
三木:『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』や『ソードアート・オンライン』のゲーム版を開発していた時だったと思うんですが、二見さんがいつもの調子で「こんなおもしろい作品があるんじゃないですか」と声をかけてきたんです。ゲーム化の話を聞いたのは、それが最初だったと思います。その後「今度は企画書を持ってきますんで」と言われて、アニメ化が決まったタイミングで企画書を渡されました。その段階では僕と二見さんだけの話だと思っていたので、バンダイナムコゲームスさんの社内で武田さんも動いていらっしゃったことは、初めて知りました。
――書店で『魔法科高校の劣等生』を見かけて、とのことでしたが、武田さん自身は電撃文庫などの小説をよく読んでらっしゃるのでしょうか?
武田:はい、めちゃくちゃ読んでいます。その中でも『魔法科高校の劣等生』が気に入っていて、ゲーム化をプッシュしたという形ですね。
――ゲームの開発はウィッチクラフトですが、白井さんはライトノベルはよく読まれるのでしょうか?
白井:はい、よく読んでいますし、実は趣味で少し書いていたりもします(笑)。
――では、今回の開発の話が来た段階でも、作品のことはご存知だったのでしょうか。
白井:話が来た段階では、まだ読んではいなかったんです。でもそこから読み始めてみたら、これはおもしろい作品だなと、一気に読みふけってしまいました。
――本作のジャンルは“戦略級の魔法対戦アクション”とありますが、このジャンルではまだゲームの全貌が掴めないのですが、どんなゲームになるのでしょうか?
武田:“戦略級の魔法対戦アクション”と付けたのは、原作に都市を一撃で壊滅できる力を持つ“戦略級魔法”というのが出てくるんですね。そういうド派手な魔法を使って、3Dのフィールドを巻き込みつつ相手を倒していくような、そんなゲームになるようにと、そういうジャンル名にしています。また、ただのアクションというわけじゃなく、頭を使ったプレイも必要になってくるため、そこもかけた意味での“戦略級の魔法対戦アクション”になっています。
白井:ただ平面上で魔法を撃ちあうだけのゲームでは、魔法のすごさは伝わらないだろうと思うんです。かくれんぼや鬼ごっこができるくらいの広いフィールドを用意して、その中で、フィールド内の建物などを壊しながら魔法を撃ち合ったり戦ったりできるような、そんなゲームを作る予定です。
――ウィッチクラフトが手がけたゲームで、“魔法”“アクション”となると、『魔法少女リリカルなのはA’s THE BATTLE OF ACES』のようなゲームを思い浮かべるのですが、そういう形とは違うんですね。
白井:違うものになります。『魔法少女リリカルなのはA’s PORTABLE THE BATTLE OF ACES』は対戦格闘ですが、ただ人と戦うだけでは『魔法科高校の劣等生』の魔法のすごさは伝わらないと思うんです。だったら人だけでなく、もっとスケールの大きい物に影響を与えられるようにしたほうが、おもしろいんじゃないかと。さまざまな戦略を駆使しつつ、強力な魔法を使って戦える、そんなゲームを目指しています。
――フィールドの広さはどれくらいになるのでしょう?
白井:大きさで言うと100メートル×100メートルくらいですね。その中で戦い合うわけですが、強いキャラクター同士の戦いでは、すぐに焦土と化したガレキの上で戦ったりすると思いますよ(笑)。
――本作にはアドベンチャー要素もありますが、アクション重視のため、ウィッチクラフトにお願いしたのでしょうか。
武田:そうですね。『魔法少女リリカルなのはA’s PORTABLE』シリーズの演出がとてもよくて、ウィッチクラフトならアクションだけでなく魔法もていねいに表現してくれるだろうと思い、開発をお願いしました。
――魔法の表現の他にも、ゲーム化するにあたって“ここにこだわった”という部分を教えてください。
武田:やっぱり“達也の強さ”ですね。ここをまず味わってもらえるように、さまざまな調整をしています。
――プレイヤーは達也をプレイして戦っていくという感じなのでしょうか。
武田:達也だけでなく、他のキャラクターでもプレイできるようになっています。
――原作サイドから、ゲーム化に際しての要望などは出されたのでしょうか。
三木:最初にゲーム化の企画を提案された時、ノベル形式のアドベンチャーだと思っていたんです。でもそういう形とは違う企画書を頂いたんですね。原作には多くのキャラクターが登場して、それぞれがすごい魔法師だったりするんですけど、そういうキャラクターも活躍するんですね。達也や深雪だけでなく、他のキャラクターでも楽しめる遊びを提案してくれていたので、ゲーム化にしては改めて要望を出すこともなかった、という感じです。
――原作の設定を見ると、達也のように強すぎるキャラクターは、ゲームの主人公にしづらいのでは? と思ってしまうのですが。
三木:学校内では、達也はそこまで強力な魔法は使えないので、そこは大丈夫かなと思います。
白井:原作の魔法には、それぞれ“殺傷性ランク”が設定されていますが、ランクの高い魔法の持ち込みを制限するなど、ゲームとしてのおもしろさを損なわないように調整する予定です。その一方で、制限が一切ない“情報統制解除モード”も収録する予定です。達也の強さを存分に楽しみたい人は、こちらで遊んでみるといいでしょう。
――ストーリーは原作者の佐島勤先生監修とのことですが、どのようなストーリーになるのでしょうか。
武田:ストーリーはまだ公開できないのですが、原作の物語を追体験するというものではなく、ゲームオリジナルのストーリーが楽しめるとだけ言っておきます。
白井:ストーリーはこちらから提案させてもらった部分もあるのですが、佐島先生から「『魔法科高校の劣等生』の世界では、こういうことが起こります」とアドバイスをいただいたり、設定面での補完をしていただいたり、もとのアイデアをふくらませてもらったりと、さまざまな形でお力を貸していただきました。
――本作のサブタイトルになっている“Out of Order”とは。どのような意味なのでしょうか?
武田:辞書を引くと“規則的でない”などの意味が出てきたり、コンピュータ科学の用語だったりするのですが、本作のストーリーと関係するタイトルにはなっていますので、ゲームをプレイしていただくと、この言葉の意味が感じられると思います。
――本作をPS Vita向けに制作することになった理由は?
武田:携帯機らしく、どこでも好きな時に遊べるから、というのが理由のひとつですね。
白井:他にも、PS Vitaならではのシステムを導入する予定ですので、ぜひ楽しみにしていただければと。それと、本作では魔法を自由に入れ替えて使うことができるというシステムも入れています。そのため本来なら達也でしか使えない魔法も、威力が若干劣ったりはしますが、他のキャラクターで使用することができるようになっています。
――現在『魔法科高校の劣等生』のアニメが放送されていて、ゲーム制作に影響を受けた部分はありますか?
白井:ゲームの開発自体はアニメ放映より前にスタートしていて、アニメ制作の勉強会のようなものに参加させていただくことができたんです。そこでアニメで見せたい部分や演出などを事前に聞くことができていたので、ゲームを作ってみたらアニメと同じような形になっていた、というところは多いですね。
武田:魔法式の展開シーンは、やはり『魔法科高校の劣等生』ならではのシーンの一つですし、その部分の法則などは参考になりました。
――ちなみにイベントCGはあるのでしょうか?
武田:あります。こちらも公開を楽しみに待っていてください。
――それでは最後に、ゲームを楽しみにしているユーザーにメッセージをお願いします。
白井:原作やアニメのカッコイイ部分をゲームでもお届けできたらと思いながら、日々制作しています。
武田:『魔法科高校の劣等生』のクールな側面と、女の子のカワイさの両方をカバーしている作品に仕上がる予定です。原作やアニメのファンの期待にこたえられる作品になるよう、鋭意制作していますので、ぜひ完成を楽しみにしていただけたらと思います。
三木:原作を好きなみなさんは達也や深雪たちの動きを頭の中で思い描いていると思いますが、そういった部分をゲームで追体験できる形になっていると思います。アニメは観るのが楽しみ方ですが、ゲームでは自分でキャラクターを動かすという楽しみがありますよね。そういった『魔法科高校の劣等生』ならではアクションを、ゲームで楽しんでください。
――魔法を使ってみたくないですか?――
バンダイナムコゲームス様よりPS Vitaで魔法科高校の世界がゲーム化される『魔法科高校の劣等生Out of Order』は、原作の魔法に新たな視覚的解釈を加えた戦闘システムにより、分かり易い形で魔法の成功と失敗をプレーヤーに示してくれます。
原作とゲーム独自のオリジナリティが絶妙にブレンドされたストーリーもお楽しみいただけること間違いなしですが、それ以上に魔法科高校の魔法師たちがどんな感覚で魔法を使っているのか、このゲームではそれを追体験できるでしょう。
まだデモ画面を拝見しただけですが、製品では一層洗練されたものとなって魔法師の気分を味わわせてくれること間違いなしです。
魔法科ファンの皆様も、そうでないゲーム愛好者の皆様も。
魔法を使ってみたくないですか?
(C)2013 佐島 勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/魔法科高校製作委員会
(C)BANDAI NAMCO Games Inc.
※画面は開発中のものです。
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