「Loser's Parade」

for さえない日々

星野源×森山未來のマイケルジャクソン対談

去年リリーフランキーの事務所であるガンパウダーが発行した「ROCK'N'ROLL TIMES」というフリーペーパー。そういやあれってどうなったんだろうと思ってたら、判を改めて9月冒頭に第3号が発行されていました。巻頭は福山雅治リリーフランキー吉田豪がインタビューをするというとっても贅沢な内容で、すでに福山雅治の「狂った童貞感」やリリーフランキーが福山にあてた手紙がネット上で話題になっております
しかし、それ以外にも見所はたくさんあり、先日お亡くなりになったマイケルジャクソン追悼記事も掲載されている。今やマイケルを語るならこの人を出さないわけにはいかない、というほどの存在になってしまった西寺郷太に並び、なんと我らが星野源森山未來がMJに対して一緒に語っている記事がありましたので紹介いたします。そもそも森山未來が「マイケルの話をぜひ星野源としたい」ということで実現した対談でした。それでは、その内容を抜粋しながら、彼らの生い立ちを辿っていきたいと思います。そもそもマイケルを好きになったきっかけは?

星野 未來に『ライフサイクル』ってサケロックのアルバムに参加してもらったときに、お互いマイケル・ジャクソンが好きって話をしたんだよね。でも、俺も大好きなんだけど、そこまで突き詰めて研究しているわけじゃなくて、一方、未來はかなりのマニアで、全曲歌えるし、踊れるんだよね?
森山 そんなこと言ってないよ(笑)!

いきなり二人の親密っぷりが現れています。「ウォーターボーイズ」で共演して以来の友人である二人。森山が「おしゃれイズム」に出演したときに星野がメッセージを番組に寄せ、更に「ホレゆけ!スタア☆大作戦」に森山が出演したときは「共演しててむかついたやつは?」という質問に「星野源かなー?」なんて冗談も飛び出していたくらいの仲。以前はよくサケロックのライブで森山未來の姿を見かけたなんて話も聞いたことがあります。

星野 俺は埼玉県出身で、周りに何もない、住宅と赤ちょうちんしかないようなところで育ったんです。荒川を挟んですぐ東京なんだけど、ものすごくコンプレックスがあって、なんだか隔離された感じがあったんです。そんな田舎の片隅で、テレビでマイケル・ジャクソンを見て凄くカッコいいと思って憧れてました。踊ることも大好きだったし、なおさら。幼稚園でも閉園したあとに、教頭先生に『オバQ音頭』をかけてもらって激踊りしているような子どもだったんですよ。
森山 そうなんだ(笑)。
星野 でも、「ギャー!」ってみんなから気絶するくらいの声援を浴びてるのに、すごく孤独そうだった。そこに勝手なシンパシーを感じてしまって。埼玉の孤独が、世界の孤独とつながったんです(笑)。

埼玉県というのがそんなに隔離された存在なんて知りませんでした。U字工事が聞いたら「そんなことないです埼玉さん!」なんて返ってきそう。そして幼少期にマイケルに孤独を感じ取ったという感受性の高さは生まれながらのものなのでしょうか。対して森山は。

森山 MTVで『スリラー』が出たのが80年代の最初だったけど、俺が生まれたのは84年。うちは家族でマイケルが大好きなんだけど、最初母親に火がついて。家族中でフィーバーし始めたのが俺が3歳のとき。

親の影響というのは強く子どもに与えるのですね。3歳ですでにマイケルに目覚めていた森山は、一緒にマイケルの影響を受けた姉に引っ張られるようにダンスの道へ。幼稚園時代にはすでに『スリラー』や『バッド』を真似したそうな。それが後に演出家の宮本亜門が「どんなダンスもこなしてしまう恐るべき15歳」と表現する若き天才に成長していきます。対して星野はダンス教室ではなくドラム教室に入れられる。音楽に敏感になった星野は食事中も食器を叩いて落ち着きがない子どもだったようで、見かねた親がドラム教室に入れたのが彼にとって音楽家の礎となる出来事だったようです。
二人に共通しているのは、母親の影響で今日に至ること。森山は母親が大のマイケルファンで、マイケルのコスプレをして踊っていたそうな。対して星野家の母親の教育は、これまで何度か聞いたけどやはりすごい。

星野 母親がジャズボーカル、父親がジャズピアニストをやってて、アマチュアでプロめざしてたんだけど、俺が生まれてちゃんと育てるために、おじいちゃんがやってた八百屋を継いだみたいで。でもレコードは家に山ほどあって、親父はいまでも趣味でピアノを続けてる。母親には昔から「あんたは不細工で短足で馬鹿だから、絶対にメジャーにはなれない」と言われて育てられたの(笑)。だからカウンターカルチャーを教えてくれたんですよ。お前にはこの道があるよって。
森山 すごいね!
星野 当時『志村けんのだいじょうぶだぁ』が好きで、当然志村さんに憧れてたんだけど、母親に「あんたは志村けんにはなれない」と。「でも芸者コントの志村けんの隣にいる柄本明を見なさい。実はこっちのほうがすごいんだよ」って言われて。
森山 ハハハハ!

よくぞこれでグレなかったと思います。しかしそんな幼少期に「志村けんより柄本明の方がすごい」だなんて理解ができたのだろうか。ヘタしたら大人だってそんなことが理解できないかもしれない。星野自身も言っているが、本当にひねくれた教育。その結果あんなにひねくれた人間ができてしまったのも納得というわけです(もちろん褒め言葉です)。
その後、二人はこんなことを語り出す。

星野 でも本当は、(森山を指して)こうなりたかったんですよ。なりたかったけど、なれないなりに道を探したらこうなった(笑)。
森山 そんなこと言うけど、俺、同じ世代でいちばん嫉妬する人だもんな、星野源って。
星野 やめてよ、そんなわけない(笑)!

お互いがお互いを羨ましいと思い、尊敬し合っていました。お互い尊敬し嫉妬しあう中であり、各個人の形成にマイケル・ジャクソンが関わっていたという話で、この後も二人の極私的マイケル愛の語らいは続いていきます。最後に二人はマイケルをこう表現します。

森山 思春期なんだよね。
星野 そうそう。中学生な感じ。マイケルの場合は、それが世界に爆発的に広がっちゃったんだと思うんだよね。それが奇跡だと思うし、すごく面白いと思う。


このフリーペーパー、新宿のタワレコで探してたのですがすでに置いておらず、たまたま出張で寄った仙台のタワレコで見つけました。まだ手に取っていない方は以下の場所でもらえるので是非とも探してみてください。

【配布先】KDDIデザイニングスタジオ(原宿)、
タワーレコード全国44店舗(渋谷店・新宿店・池袋店・吉祥寺店・町田店・横浜モアーズ店・川崎店・八王子店・千葉店・聖蹟桜ヶ丘店・柏店・秋葉原店・静岡店・浦和店・仙台店・京都店・広島店・名古屋パルコ店・姫路店・福岡店・神戸店・名古屋近鉄パッセ店・岡山店・長野店・熊本パルコ店・梅田大阪マルビル店・金沢店・那覇店・札幌ピヴォ店・大分店・高崎店・大津店・秋田店・宇都宮店・藤沢店・小田原店・長崎店・郡山店・明石店・難波店・ららぽーと磐田店・梅田NU茶屋店・ TOWERminiフレンテ新宿店・TOWERmini東京駅八重洲口店)

そしてその星野源は、近々エッセイ集を刊行します。そのエッセイ集『そして生活はつづく』では、今回話題となったマイケルについて、更におかしな教育方法についても語られているようです。サイン会もあるようなのですが、先着100名らしいので早めに予約をした方がいいのかも。自分はそもそもサイン会に行くって行為が恥ずかしくて仕方ない(本人を目の前に何を喋っていいのかさっぱり分からない)ので行くかどうかかなり悩んでいるところです。そうこうしているうちに整理券配布終了しちゃうかも…。

そして生活はつづく
そして生活はつづく
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