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来年の天文現象  2014年はどんな年?

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
2011年12月10日の皆既月食(国立天文台)

天文・宇宙の話題では、2012年は「金環日食の年」、2013年は「彗星の年」でした。さて、来年、2014年はどんな年になるのでしょう?来年の天文現象をご紹介します。

皆既月食 10月8日

日本においては最大の天文ショーは10月8日(水)の皆既月食です。石垣島以西では月の出の時にすでに食が始まっていますが、それ以外、すなわち、ほぼ全国どこででも月食の始めから終わりまでを見ることが出来ます。もちろん、当日晴れることが条件ですね。満月が地球の影に入って欠け始めるのが18時15分、満月が暗く赤銅色に輝く神秘的な皆既食は19時25分に始まり、ちょうど1時間後の20時25分に皆既が終了します。欠けていた月がもとの満月に戻り月食が終わるのが21時35分です(いずれもJST:日本標準時)。

その他、2014年の主な天文現象を地球全体で見ると、金環日食と部分日食がそれぞれ1回と、皆既月食がもう1回あります。ただし、日食はいずれもあまりよい条件のものとは言えません。4月29日(火)の金環日食では、南極大陸の一部のみが金環食帯となり、インド洋南部、オーストラリア大陸等で部分日食となります。一方、10月24日(金)の部分日食は、太平洋北部と北アメリカ大陸でのみ見られる日食です。

皆既月食は4月15日(火)にも、北アメリカ大陸やハワイ諸島以東の太平洋上で起こります。あいにく、日本では東日本で月の出の直後に部分月食が終わる僅かな部分月食です。

惑星現象

惑星現象としては、冬から春のかけて金星と木星が見ごろ、春から夏にかけては火星と土星が見ごろとなります。

金星はいま、宵の明星としてとても明るく夕暮れの空に輝いていますが、年が明けると明け方の東の空に移り、2月15日(土)に-4.6等星という最大光度に達します。もっとも太陽から離れる西方最大離角は3月23日(日)です。

火星は4月9日(水)に2年2か月ぶりの衝(地球から見て太陽と正反対の位置)をおとめ座で迎えます。この頃は一晩中、火星を楽しむことができます。また、地球にもっとも近づくのは4月14日(月)ですが、あいにく、地球との距離は0.6176天文単位(約9,239万km)とかなりの小接近です。近年では火星は2003年8月27日に5,575万kmまで近づいています。火星の軌道は楕円であり、地球もわずかに楕円軌道のため、このように最接近の距離がそのたびに異なります。

木星はいま、夕方の東の空に明るく輝いていますが、1月6日(月)にふたご座で衝を迎えます。4月ごろまでが観望の好機です。

一方、環のある人気者の土星は5月11日(日)にてんびん座で衝を迎えます。春から夏の観望会ではぜひ土星をお楽しみください。

流れ星

主な流星群を紹介しましょう。

条件のよい流星群は年初めのしぶんぎ座流星群です。しぶんぎ座流星群の極大予想は1月4日(土)です。月明かりもなく最良の条件となります。風邪をひかないよう十分暖かい服装で楽しみましょう。

ペルセウス座流星群は8月13日(水)が極大との予想ですが、ほぼ満月と重なってしまい条件はよくありません。しかし、明るい流星が多いのがペルセ群の特徴ですから、ぜひ、チャレンジしてみましょう。

今年も多くの流れ星が出現したふたご座流星群の極大予想は12月14日(日)です。下弦の月がありますが、ここ数年、安定してたくさん流れていますので要注目ですね。

その他

2014年(平成26年)は平年で、年の干支は甲午(きのえうま、こうご)です。伝統的七夕は8月2日(土)、中秋の名月は9月8日(月)となります。

ここで紹介した来年の天文現象の観察方法等の詳細は、天文年鑑2014(誠文堂新光社)等の毎年の天体暦や「星ナビ」(アストロアーツ)、「天文ガイド」(誠文堂新光社)等の月刊天文誌をご覧ください。

国立天文台では2014年度中に次の2つのウェブ参加型天文現象キャンペーンを実施予定です。

◆ペルセウス座流星群

実施期間:2014年8月13日前後の数日間

◆皆既月食

実施期間:2014年10月8日

どうぞ、お楽しみに。

参考: 国立天文台 ほしぞら情報 2014年[国立天文台ほしぞら情報2014年 http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2014/2014.html]

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。宙ツーリズム推進協議会代表。国立天文台で国際天文学連合・国際普及室業務をを担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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