カントリー・ハウス訪問のすすめ | Britain Park  - 英国政府観光庁 -

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さあ、一緒にイギリスの旅へ出かけましょう!



 こんにちは、はじめまして。文筆・翻訳家の村上リコです。ふだんは英国の社会史、おもに100年くらい昔の執事やメイドの日常生活について調べたり、書いたりしています。昔の英国をモデルにした日本のアニメ作品において、考証、リサーチの仕事もしました。

 本格的にこのテーマに取り組むようになって10年と少し。そのあいだに、過去の人びとの暮らしを調べるため、年に1~2度英国に飛んで、いろいろな場所へ訪れてきました。


映画版『プライドと偏見』のロケ地、ピーク・ディストリクト地方の「チャッツワース」。(以下、6点目までの写真は村上リコ撮影)


 わたしにとって、英国に旅行するとき、なんといっても楽しみなのはカントリー・ハウスへの訪問です。カントリー・ハウスとは、かつての貴族や地主たちが、おのれの権力を周囲に誇示するために築いた、巨大にして壮麗な住居のこと。


エイルズベリー近くのヴィクトリア時代のお屋敷「ウォッズドン・マナー」の正餐室。

 
「貴族のお屋敷を見に行くだなんて、そんなことできるの?」
「正装して行かなくちゃ失礼にあたるんじゃ?」
「ものすごく費用がかかるのでは?」

なんて聞かれることがありますが、心配はご無用。

イギリスでは、時代が変わって、個人の住宅としては維持管理が難しくなった数多くの大邸宅が、チャリティ組織などにゆだねられ、一般の見学者に公開されているのです。そうした団体のひとつであるナショナル・トラストが保護・修復・公開している歴史的建造物だけでも、300を超えているそうです。公開日に行って入場料を払えば、だれでも入ることができます。昔の時代を懐かしむお年寄りや、ピクニックついでにガーデンだけ利用する親子連れの姿もたくさん。海外からの旅行者専用のお得なツーリング・パスもありますよ。


『ブライズヘッドふたたび』『情愛と友情』が撮影されたヨークシャーの「カースル・ハワード」。


 カントリー・ハウスは、英国を舞台にした数多くの映像作品のロケ地になっています。たとえば、同じイヴリン・ウォーの小説を原作にしたテレビドラマ『ブライズヘッドふたたび』(1984)と映画版『情愛と友情』(2008)の両方で使われた「カースル・ハワード」や、映画『プライドと偏見』(2005)が撮影された「チャッツワース」は非常に人気があって、毎年、多くのファンが訪れるそうです。

 最近ではテレビドラマ『ダウントン・アビー』(2010~)が撮影されたバークシャーのハイクレア・カースルも有名ですね。世界的な大ヒットとなったこの『ダウントン・アビー』では、伯爵とその娘たちのほか、メイドや執事や従者といった家事使用人のキャラクターを大きくフィーチャーしていることの影響もあって、「かつての貴族の豪華な暮らしぶりを見学できる」ことを売りにするだけでなく、「それを支えていた当時の使用人はどうしていたの?」というところを見せてくれるカントリー・ハウスも少なくないようです。


2015年冬に英国BBCで放映予定の人気ドラマ『シャーロック』特別版に登場する……? という噂の「ティンツフィールド」。



「ティンツフィールド」で使用人呼び出しベルを発見! 上の部屋に設置されたボタンやハンドルを操作すると、壁の中をとおったワイヤでこのベルが鳴り、どの部屋から呼んでいるかがわかるのです。


 長い年月をかけて増築や改装を重ねてきたこうした館には、ひとつひとつ、それぞれに、私的な歴史が眠っています。いまはもうオーナーが住んでいるわけではないにしても、かつての暮らしの痕跡はそこかしこに見つけられるのです。


「アップパーク」の地下通路。チーズをやバターを作っていた酪農室と、本館と、別棟のキッチンを地下でつないでいます。


 ジェーン・オースティンの時代を再現した豪華な応接間を見れば「ここできっと恋の駆け引きが……」。キッチンから正餐室につながる地下通路を歩けば「ここをトレイに料理を乗せたフットマンやメイドが……」。部屋のすみに、壁と同じ色でカモフラージュされた小さな隠し扉を見つけると「ここから執事がそっと出入りして……」と、ひたすら想像(妄想?)が広がります。

 あまりの規模に圧倒されて、「これだけの大邸宅を築いた莫大な富は、いったいどこからやってきたのだろう?」という、当時の社会構造に対する関心もわいてきます。

 建てられた時代に流行していた建築様式や、住人たちの趣味や生活スタイル、かけることのできた予算の規模によって、建物の個性は大きく変わります。そのため、カントリー・ハウスをめぐっていると、いろいろな疑問が浮かんできます。あの館とこの館では屋根の形が違っていたけど、どっちがいつの時代のもの? ゴシックやバロックやギリシャ・ローマ風、木骨造りなどというけど、どんなスタイルがどういう人に好まれていたの? 肖像画はどうやって吊るしていたの? 使用人はどこで働いていたの?……行けば行くほど、まだまだ興味は尽きません。

 そんな数々の疑問にやさしく答えてくれる本を、このたび翻訳・出版することができました。『図説 イングランドのお屋敷~カントリー・ハウス~』は、イラストレーター・著述家のトレヴァー・ヨークさんによる建物シリーズの1冊で、カントリー・ハウスの歴史と様式を、著者自身の温かみのある手描きイラストと写真で解説した本です。映画やドラマで見たあの屋敷やこの部屋が、いつの時代のどんな様式にあてはまるのか、部屋の間取りやインテリアのディテールや庭のつくりがどう移り変わっていったのかが、手に取るようにわかります。

原著者のヨークさんが撮影した写真や、部屋の間取りを解説したイラストが満載。

ダウントン・アビーのロケ地となったお屋敷の写真も。

キッチンの構造や、かつて使われていた道具類を細かく解説したコーナーもありますよ。


 解説の材料として、できるだけ現在も一般公開されていて、英国に行けば読者が実際に訪れることのできる屋敷を選んだということなので、旅行の副読本としても使える1冊になっています。巻末には、本の中で紹介されているカントリー・ハウスの、住所・連絡先・ウェブサイトなどの情報がまとめてあり、日本版ではオリジナルの簡単な所在地マップも追加しています。カントリー・ハウスは、そもそも広大な敷地内に建っているため、ちょっと交通の便がよくないところが多いので、効率的に回りたい人にはレンタカーの旅がおすすめです。とはいえ、鉄道とバスとタクシーを組み合わせても、訪問することは十分可能です。

 英国を舞台にした映像作品や、小説・コミックなどが好きな方には、イメージをふくらませる手助けとして。絵を描いたり物語を作る人には、背景描写や作画の参考資料として。旅好きの方には、次の旅行先を決めるときの案内書として。妄想旅行もいいですね。実際にこの本をスーツケースに入れて、旅行に連れて行ってもらえれば、カントリー・ハウスを訪れたとき、ほんものと照らし合わせてあれこれのディテールを確かめるのにも使えるでしょう。
 
 実をいうと、こうしたお屋敷を訪れると、併設のギフトショップにはこの本の原書が必ずといっていいほど置いてあるんです。つまり、あちらでの位置付けは、カントリー・ハウス訪問のための定番教科書みたいなものなんだと思います。現地に行って「この本の日本語版、持ってるよ!」と言ってみたら、会話のきっかけになるかもしれません。

 ぜひ活用していただけると幸いです。


村上リコ

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2015年10月17日(土)~10月20日(火)23:59まで
当選者へは、直接ダイレクトメールにてご連絡させていただきます。

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