築地市場の図書室も移転 魚関係3千冊、貴重な資料
築地市場(東京・中央)が10月11日に豊洲市場(同・江東)に移転するまであと1カ月となった。引っ越し準備が本格化する中、築地市場内にある小さな図書室「銀鱗(ぎんりん)文庫」も豊洲に移る。築地開場当時の資料など貴重な文献も多く、関係者は「豊洲でも多くの人に利用してほしい」と話す。
文庫は、築地市場の業者でつくる「築地魚市場銀鱗会」が1962年、それぞれが所有していた資料の保管などのため、場内の建物の一室に開設。かつては一般書籍も多かったが、専門性に特化するため処分し、現在では水産や市場関係の約3千冊がそろう。
魚市場が日本橋にあった時代の印刷物や、35年の築地開場前後の業界報などが含まれ、大学教授の調べ物や、小学生の夏休みの自由研究といった外部利用もある。管理人の福地享子さんは「築地ならではの資料を通して日本の歴史を見ることができる」と胸を張る。
豊洲では駅直結の管理施設棟3階に入居する。広さは42平方メートルと現在の3分の2になるが、デジタル化した資料の閲覧コーナーやギャラリーを設ける予定で、福地さんは「気軽に入ってもらえるようにしたい」と話す。
見学に来た子どもが安心して座れるよう床をチーク材に張り替えるなど、引っ越しにかかる費用は約700万円。築地の業者の廃業に伴い、銀鱗文庫の運営会費も減っており、文庫では1口1万円からの寄付を受け付けている。問い合わせは銀鱗会、電話03・3541・7194。〔共同〕
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