山口FGの吉村前会長が取締役辞任 株主「混乱の責任をとるべき」

座小田英史 編集委員・堀篭俊材
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 経営トップを突然解任された山口フィナンシャルグループ(FG)の吉村猛前会長兼最高経営責任者(CEO)が23日、取締役を辞任した。山口FGは24日の臨時株主総会で吉村氏の解任議案をはかる予定だったが、その前日に吉村氏が辞表を提出。自ら身を引く形となった。突然の解任劇から約半年で一連の騒動にひとまず終止符が打たれた。

 24日の株主総会は、吉村氏に代わる取締役の選任議案を採決するために予定通り開かれる。吉村氏は23日、朝日新聞の取材に「解任のプロセスなどに承服できないところはあるが、株主や地域にこれ以上迷惑をかけられない」と語った。

 関係者によると、22日までに株主から総議決権数の8割にあたる行使書が届き、圧倒的に吉村氏の解任議案に賛成だった模様だ。山口FGの関係者からは「不利な情勢を受けての敵前逃亡だ」との声もあがる。

 解任議案に賛成したという山口県内の個人株主の男性は「辞表を出してくれてほっとしている。吉村氏は会社を混乱させた責任をとるべきだ。これ以上は騒ぎが続いてほしくない」と語った。

 吉村氏は、今年6月の定時株主総会で株主の99%の支持により取締役に再任されたが、直後の臨時取締役会で経営トップを解任されていた。10月に公表された調査報告書では、吉村氏が消費者金融アイフルとの新銀行構想を取締役会に説明せずに独断で進めたとされ、取締役会は吉村氏に取締役も辞任するよう勧告していた。だが、吉村氏はこれを拒み、第三者委員会での再調査を要求。取締役の解任は株主総会でしかできないため、山口FGは臨時株主総会で吉村氏解任の賛否をはかる予定だった。(座小田英史、編集委員・堀篭俊材

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