イスラエル、07年のシリア原子炉空爆認める
イランけん制の狙いか
【カイロ=佐野彰洋】イスラエル軍は21日、2007年9月にシリア東部で原子炉とみられる施設を空爆、破壊したことを初めて公式に認めた。機密指定を解除し、当時の情報や攻撃対象の写真などを公開した。リーベルマン国防相はイスラエルを脅かす「敵の意欲は近年拡大しているが、軍の力も増強している」と述べ、シリア内戦で存在感を増すイランのけん制という狙いを示唆した。
当時、イスラエルは北朝鮮の協力を受けてシリア東部デリゾールで建設中の原子炉が完成間近と判断。07年9月5日夜から6日未明にかけて戦闘機8機が空爆を遂行した。
イスラエルは公式に宣言していないが、中東唯一の核保有国とされる。1981年にもイラクで建設中の原子炉を攻撃、破壊した。
シリア内戦が始まった11年以降、敵対するイランの影響力拡大とレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラへの武器輸送を阻止するため、シリアへの空爆を繰り返している。
07年の空爆を巡っては、米議会や国際原子力機関(IAEA)などで議論されてきたが、イスラエルは公式の言及を避け、国内の報道を統制してきた。今回の機密解除のタイミングを巡っては、当時のオルメルト首相の回顧録出版に先駆けたとの見方もある。