韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は今年の仕事始めとなる2日、10月に家族の不正疑惑で法相を辞任した曺国(チョグク)氏の後任に、与党「共に民主党」の前代表、秋美愛(チュミエ)氏を任命した。文氏は「法相は検察事務の最終監督者だ」と強調し、曺氏が実現できなかった検察改革を「リードしてほしい」と求めた。

 文政権が進める検察改革は、曺氏の辞任後に停滞していたが、韓国国会は昨年12月末、改革の目玉である政府高官の不正を捜査するための新機関「高位公職者犯罪捜査庁」の設置法案を可決。経済の再生や南北関係改善が思い通り進まない中、文政権と与党は、検察改革を4月の総選挙に向けた成果にしたい考えだ。

 新機関は、強大な力を持つ検察から大統領や政府高官、国会議員らへの捜査権限を移し、「検察の政治化」を防ぐのが目的。ただ、新機関トップは大統領が任命するため、政権のお手盛り機関になると野党は強く批判している。(ソウル=武田肇)