ロシアの侵略を受けるウクライナの国防省情報総局高官のユソフ氏は、露軍が東部ドネツク州都ドネツク近郊の都市アブデエフカの制圧を狙って攻撃を激化させていると発表した。ウクライナメディアが22日伝えた。
露軍は今月、アブデエフカへの攻勢を強化。ただ、ウクライナ軍に阻まれ、多くの損失を出しながら限定的な成果しか得られていないとの観測が強い。
ドネツク州全域の制圧を狙う露軍は同州バフムト制圧後、同市周辺でウクライナ軍に足止めされていることから、別の進軍ルートとしてアブデエフカの突破を狙っているとみられる。
アブデエフカを巡る戦闘について、米シンクタンク「戦争研究所」は21日、露軍が同市北西の地域でわずかに前進したもようだと指摘。ただ、「ここ数日間、ウクライナ軍は露軍の攻勢を撃退し、人員と装備に相当規模の損害を与えた可能性が高い」と分析した。
英国防省も23日、アブデエフカを巡る戦闘で露軍の損害がそれまでより90%増加していると指摘。侵略開始後の露軍の戦死者と戦線に復帰できない負傷者は計15万~19万人だとする推計も公表した。
一方、南部戦線に関し、英BBC放送は21日、ウクライナ軍の現場部隊の話として、露軍占領下にある南部ヘルソン州ドニエプル川東岸地域にウクライナ軍が上陸し、「初めて強固な足場を確保した」と伝えた。一部の露軍事ブロガーもウクライナ軍の同川東岸への上陸を報告した。双方によると、ウクライナ軍部隊は東岸地域の集落クルインキに接近している。
これについて、ウクライナ軍南部方面部隊のグメニュク報道官は22日、地元テレビで同国軍の同川東岸への上陸を暗に認める一方、成果に言及するのは「時期尚早だ」と述べた。