野生の論理/治病の論理

書誌事項

タイトル別名
  • The Logic of Savage Healing: The Magic Words for the Treatment of Malaria
  • 野生の論理/治病の論理 : 〈瘧〉治療の一呪符から
  • ヤセイ ノ ロンリ/チビョウ ノ ロンリ : 〈 ギャク 〉 チリョウ ノ イチ ジュフ カラ
  • ―― 〈瘧〉治療の一呪符から ――

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抄録

<p>平城京二条大路側溝から出土した治瘧の呪符木簡は、定説的には唐・孫思?撰の医書『千金翼方』に基づき、列島固有の文脈も加味して作成されたと考えられている。しかし、同種の呪言は八世紀に至るまでの複数の中医書に散見し、『千金翼方』より上記の木簡に近い表現を持つものもある。その淵源を遡ってみると、前漢・王充撰『論衡』に引かれる『山海経』にまで辿り着く。鬼門を守る神が疫鬼を虎に喰わせるという辟邪の文章は、やがて儺の呪言として展開してゆくが、その過程で、山林修行で培われた医薬・呪術の知識・方法、洪水と疫病の流行による世界の破滅/更新を説く神呪経の言説を含み込んでゆくことになる。そうして成立した短い呪言の一語一語には、その直接意味するところ以上に、豊かで複雑な自然環境/人間の関わりをうかがうことができるのである。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 62 (5), 39-54, 2013

    日本文学協会

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