女性土俵問題、米でも報道 「日本の差別反映」と批判

 【ワシントン=黒瀬悦成】京都府舞鶴市での大相撲春巡業で、土俵の上で倒れた市長に救命処置を施した女性たちが行司から土俵から下りるよう求められた問題について、米主要メディアは5日、日本にいまなお根強い女性差別を反映しているとの視点で批判的に報じた。

 ワシントン・ポスト紙(電子版)は、「行司が女性たちに土俵から下りるよう指示したのは、相撲では女性が儀式上、不浄と見なされているからだ」と指摘。また、ある保育園で女性保育士の間で年功順に妊娠と出産の順番が決められ、ルールを破った保育士が謝罪したニュースを同時に紹介し、「女性があらゆる局面で差別や障害に直面している」と主張した。

 ウォールストリート・ジャーナル紙(同)は相撲の問題に加え、「歌舞伎でも演者は男性に限られている」とし、今回の問題を機に、日本の伝統文化で女性が不公平に扱われていることが、日本での広範にわたる男女の不平等の象徴として注目を集めていると報じた。

 同紙は一方で、安倍晋三政権による女性登用を促進させる政策により、女性の昇進率が確実に上昇していると指摘したほか、トヨタ自動車で今年2月、初の生え抜きの女性役員が誕生した事例も紹介した。

 ニューヨーク・タイムズ紙(同)は、「たとえ男性の命が危機にさらされている状況下でも、相撲の儀式は不可侵なのだ」と皮肉混じりに伝えた。同紙はまた、「人命より伝統が大事というのは伝統を原理主義と勘違いしているカルトである」とした漫画家の小林よしのり氏のブログのコメントを紹介した。

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