解答乱麻

保育所建設反対…不寛容な空気 「地域で子育て」どこへ行った B&G財団専務理事・菅原悟志

 鳴き声やふん、ゴミを荒らすなどの被害により害鳥のイメージが強いカラスだが、「烏(からす)なぜ鳴くの」で始まる詩人、野口雨情作詞の「七つの子」は多くの人に親しまれている童謡である。「烏は山に 可愛(かわい)い七つの 子があるからよ」と続く。

 「七つの子」は生まれたての7羽の雛(ひな)か、7歳のことかなど諸説あるが、「かわいい、かわいい」とわが子をいとおしく思う親の気持ちを表していることは間違いない。巣やゴミの早期撤去などの対策により最近、都内ではカラスが激減しているそうだ。カラスにとってもはや都市部は子育てしづらい環境に変わった。それは人間も同様だ。

 とりわけ保育所の待機児童問題は深刻である。国や自治体は努力するものの希望者が増え続けているため対応が追いつかない状況だ。子供を預けられなければ職場に復帰できず、最悪の場合は失業を招く恐れもある。なかには貧しい世帯やひとり親世帯もいてそれぞれに事情がある。働きたい女性たちの希望をかなえることは論を俟(ま)たず、育児休暇や復職支援以上に保育環境の整備が不可欠である。

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