観衆592名
◆第1試合
シングルマッチ10分1本勝負
世羅りさ○vs山口ルツコ×
(6分55秒 片エビ固め)
※エアーズロック
今年初の後楽園大会のオープニングは、アイスリボンの未来を担う昨年末デビューの同期によるシングル戦。デビュープロジェクトによる映画制作が発表され、映画制作後もプロレス活動を継続宣言をした二人は、共にコスチュームを一新しこの一戦に臨んだ。スタートから一歩も譲らない攻防を展開。先手を取ったのは山口。逆エビ固めで世羅の動きを鈍らせ、喧嘩キックからのアイアンクローを仕掛けていく。2発目のアイアンクローをすかしてバックフリップに持っていった世羅だが、今度は山口のスリーパー、のど輪落としに追い込まれる。苦しい展開が続く中で、それでも世羅はあきらめずにチャンスを待った。6分過ぎ、4度目のアイアンクローを蹴りで外した世羅が、間髪入れずに串刺しドロップキックから一気にエアーズロックを決めて逆転のフォールを奪った。どちらが勝ってもおかしくない2人の攻防は、この日のメインのつくしvsくるみのように、ライバル対決として今後も続いていく。
◆第2試合
シングルマッチ10分1本勝負
大島くじら×vs235○
(3分39秒 ギブアップ)
※クルックヘッドシザース・アームロック
世羅&山口と同様に映画制作後もプロレス活動継続の継続を宣言し、コスチュームを一新し試合に臨んだ235。スタートから気合を入れくじらに食らいついていくが、その攻撃を仁王立ちで受けて立つくじら。70kgのウエイト差は、言葉通りの分厚い壁となって235を苦しめる。それでも何度もぶつかっていく235に、最初は余裕の表情だったくじらにも徐々に変化が。235をむんずと捕まえて、コーナーへ飛ばしてのボディプレスを決めたが、有効的なくじらの攻めはこの一発のみ。235がコツコツと仕掛けていった攻めがくじらの壁に風穴を開け、スタミナ切れのくじらに対して、235はくじらの腕を取りヘッドシザースを決めて前方回転。クルックヘッドシザースの状態をキープしながらアームロックで絞り上げる複合技でくじらからギブアップを奪ってみせた。235がプロレスデビュー3か月にして嬉しい初勝利を飾った。
◆第3試合
トライアングル・タッグマッチ 20分1本勝負
チェリー(ユニオン)&内藤メアリ×
vs
希月あおい○&中島安里紗(JWP)
(9分35秒 クロスアーム・ジャーマンスープレックスホー
ルド)
※もう一組は、華名&渋谷シュウ
共に38歳のチェリー&内藤のBBA38、2004年同期の華名&渋谷、そして道場マッチで2度タッグを結成し、あのクールビューティ中島の別の顔を引き出したあおい&中島…どの顔合わせも興味深い3チームがトライアングルで激突するという贅沢な一戦。試合は序盤からヒートアップ。それぞれの選手が個性を存分に魅せていく攻防戦が繰り広げられた。リング内はもちろん、コーナーサイド、場外と、至る所で注目の顔合わせがみられる中、最後は華名と渋谷を同士討ちにしたあおいが、内藤を捉え、旋回式ボディプレス、そしてだるま式ジャーマンを決めて、カウント3を奪取。バトルロイヤルのような乱戦を制した。
◆第4試合
タッグマッチ 20分1本勝負
星ハム子○&ヘイリー・ヘイトレッド(フリー)
vs
新田猫子×&Leon;(JWP)
(10分17秒 片エビ固め)
※スモーラリアット
スタートから好連係をみせる猫科タッグに対して、チームもっちりはダブルのセクシーポーズで対抗。猫科タッグの動きを止めると、パワーにプラスしてスピーディな動きも可能なチームもっちりが徐々にペースを掴んでいく。猫科の2人も猫子のケブラーダ、ダブルのコーナーtoコーナー、さらに切り返し技と食い下がっていったが、最後は猫子がもっちりのサンドイッチラリアット、コーナーでの合体技ハイジャック式バックブリーカーを浴び、ハム子のスモーラリアットに沈んだ。元タッグ2冠王者の粘りと爆発力が光った一戦だった。
◆第5試合
シングルマッチ30分1本勝負
松本都(崖のふち)×
vs
鈴木みのる(パンクラスMISSION)○
(9分56秒 エビ固め)
※張り手
リングに上がった鈴木は完全に都を見下したニタリ顔でマイクを手にすると「おい、どうすんだよ、これ。何やんの?あっち向いてホイでもやる?見たことあるよ、お前の試合。あんなのプロレスじゃないじゃん」とチクリ。対する都は「ふざけんな、お前!今日、何しに来たんだ!プロレスだろ?プロレス以外なら3秒だけど、今日はプロレスで、お前の土俵でやってやるよ」と自らゴングを要請し試合開始。いきなり片足タックルを決めた都だが、鈴木は何食わぬ顔で背中への張り手一発で都のロックを外す。なおもチョップ、張り手と食らいついていく都だが、余裕の表情を崩さない鈴木は、アキレス腱固め、アームロックといった関節技で都を痛ぶっていく。4分過ぎ、都は「鈴木みのるがデビュー1年目でアントニオ猪木と対戦したときの決め技だったので、自分も決めたかった」という弓矢固めを狙うが完全に持ち上げるには至らない。さらにレフェリー、セコンドにもちょっかいを出していく鈴木。レフェリーも徐々に都びいきになり、場合によってはギブアップとも取れる都がマットを叩くしぐさもスルー、張り手、首投げから決めていったマンマミーヤも超高速カウントでフォールを取り行く。このままでは分が悪いと読んだか、9分過ぎ、鈴木は都の張り手を受け流し、髪を掴むと強烈な張り手を返し、そのままカウント3を奪ってしまった。
試合後、都がマイクを掴むと「ちょっと待って!鈴木みのる、いやみのるっち!今すぐとは言わない。5月4日(横浜で)私のホームリングである崖のふちプロレスが開催されます。ここと違って、もっと最先端のプロレスをやる場所です。そこで今度こそギブアップさせてやる」と左目の上を腫らし、フラフラになりながらも、再戦のオファーを申し出た。5月3日(博多)、5日(高松)は新日本プロレスの興行が入っていると語った鈴木は、4日の予定を聞かれ「釣りとキャバクラ」と返答。「釣りなんていつでもできるじゃないか!?あたしから逃げてキャバクラ行く気か!」となおも食い下がる都に「キャバクラより楽しい時間過ごさせてくれるのか?」と鈴木。都は鈴木が出した条件(ギャラ+往復飛行機代、タクシー代、さらにサービス料)を受け入れ、鈴木に再戦のOKを出させた。
インタビュー・スペースに現れた都は「痛くない!痛くないぞ!」と叫び「今日はまだ自分のやりたいことをやってない。5月4日は今日みたいなことにはならないと思う。鈴木みのるにとっての大一番だと思う。崖のふちプロレスの怖さを教えてあげます」とリベンジを宣言。崖のふちのリングが舞台となれば、都がどんな手に出るかはわからない。鈴木は思わぬ世界に足を突っ込んでしまったのかも知れない。
◆第6試合
タッグマッチ30分1本勝負
志田光○&藤本つかさ
vs
GAMI(WAVE)×&水波綾(WAVE)
(20分03秒 片エビ固め)
※魂のリーカウント
スタートから奇襲攻撃を仕掛け、主導権を奪おうとしたマッスル・ビーナスだが、慌てずどっしり構えたGAMIが水波をうまくリードしながら、徐々に自分のペースへの試合の流れを持っていく。シングルで藤本、志田と立て続けに破っているGAMIだけに、インサイドワークでは一枚も二枚も上だ。水波のアシストを得てのビーナスシュートならぬガミ-ナースシュートを決めるなど、相変わらずの変幻自在のファイトをみせる。対するマッスル・ビーナスは小細工なしで勝負。藤本のビーナスシュート、志田のファルコンアローの連続攻撃にも耐えたGAMIは目突き、ガミコンアローと反撃に出るしぶとさを見せたが、最後は志田のスリーカウント、魂のスリーカウントが決まり、志田がGAMIからフォールを奪取した。「こうなったら、マッスルビーナス、次、アイスリボンのベルト狙っちゃいますか!?」と志田がアピールすると、そこにハム子&ヘイリーのが登場。「私たちもタッグベルトに挑戦したい!」とハム子。初代二冠タッグ王者と、それを破り二冠タッグ王者になった元王者同士のチームだけに一歩も譲らず。5月4日の横浜大会で次期タッグ王座挑戦者決定戦が行われることとなった。
◆メインイベント
ICEx60選手権試合 20分1本勝負
[王者]つくし○
vs
[挑戦者]
くるみ×
(12分40秒 タイガースープレックスエビ固め)
※第17代王者初防衛戦に成功
デビューから3年、常にお互いを意識して戦ってきたつくしとくるみ。そのライバル・ストーリー第一章の集大成となる大一番が遂に実現。女子中学生同士による史上初の後楽園メインというプロレスの歴史に1ページを刻む注目の一戦となった。序盤戦、優位に立ったのはつくし。場外ボディアタックからミサイルキック、さらにグランドでくるみを追い込んでいく。くるみも負けてはいない。つくしの弓矢固めを体を入れ替えてバランスを崩し、そのまま体を浴びせてフォールにいくなど、つくしの技を知り尽くしているくるみならではの切り返しを随所でみせ、そこを突破口に攻撃に転じていく。まさに一進一退。どちらが勝ってもおかしくない攻防のなか、勝利を手にしたのはつくし。くるみのラ・マヒストラルをカウント2でクリアし、エルボーの打ち合いからでんでんむし、低空ドロップキックとつなぎ、最後は渾身のタイガー・スープレックス・ホールドエビ固め。きっちりとカウント3を奪い、タイトル初防衛を果たした。
リング上でマイクを手にしたつくしは「今日で変わるものと変わらないものがあります。自分は今日で中学生レスラーを卒業して、明日から高校生レスラーの人生を歩みたいと思っています。でもくるみは同期だし、(これからも変わらない)一番近くにいる存在だと思っています。心と体と共につくしは…いや…(倒れているくるみを起こして、2人で中央へ)くるみとつくしは心と体と共に成長していくので、応援よろしくお願いします!」と挨拶。一方、敗れたくるみも「負けて悔しいです。だから何年もプロレスを続けて、何回も後楽園のメインに立ちたいと思っています。今日がその始まりです。私はこの日を絶対に忘れません!」と前向きに語った。
インタビュー・スペースでの両者のコメント
つくし「くるみとはずっと競い合ってきた仲で、自分のことを知っていて、自分のことを一番見ているんだなって思いました。自分は高校生になるんで、これからは10時まで(試合に)出られるんですけど、くるみとは同期でライバルでっていうのは変わらないということを、試合で(くるみに)伝えました。伝わったかな?今日はたくさんの応援がたくさん聞こえて来ました。これからもベルトをずっと防衛してプロレス界ナンバーワンになりたいと思います。今日はプロレス界の歴史に刻めたと思います。」
くるみ「試合前はすごい緊張があったけど、自分らしく頑張ろうと思ってて、負けたけど、楽しかったなって思いました。いつかまたメインで、(相手は)誰でもいいから勝って、今度は勝ったときに(最後のエンディングを)自分が締めたいと思います。今までも思いを2人でぶつけ合ってたんですけど、(今日は)違う思いもぶつけ合ったので、技も重いし、自分では良かったなと思っています。」
つくし、くるみにとって、プロレスラーとしての戦いは、まだまだ続いていく。発展途上にある2人にとって、ひとつの決着は次のステップの始まりに過ぎない。延々と続いていく2人のライバル・ストーリーはまだ序章を終えたばかりである。
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