後継は長男、火種を残し 鹿児島1区、保岡氏不出馬
衆院選公示2日前の保岡興治氏の突然の不出馬表明に、「寝耳に水」の自民党県連幹部らは対応に追われた。後継は保岡氏の意向通り、長男で秘書の宏武氏に決めたが、電撃的な世襲には県連内でも批判が上がる。1区での出馬を望んでいた前職もおり、今後について県連会長の森山裕元農相は「1区支部長を選挙後に改めて決める」と述べるにとどまり、火種を残した。
「けさ聞いて大混乱なんだよ」「公認は間に合わないのか」。8日午後2時からの保岡氏の記者会見直前、県連に集まった幹部の一人は、党本部への電話問い合わせに怒気が混じった。
保岡氏は不出馬理由を「がんの治療」と明かしたが、前日は地元テレビ局が生放送する討論会に出席し、熱弁を振るっていただけに、予想外の事態に県連関係者は慌てた。
鹿児島県は今回から選挙区数が1減の4選挙区に。県連は前職5人の協議で、前回唯一落選して比例復活した宮路拓馬氏が比例単独に回ることを了承。宮路氏は将来の1区からの出馬に意欲を示していた。
ただ8日夜の県連の会合で宮路氏が「1区から出たい思いはあるが、(比例での)与えられた役割がある」などと語り、候補者世襲の流れが決まった。
ある県議は公示間際の出馬取りやめを「宮路封じ」と批判。一方で宮路氏についても「比例名簿上位が確約されているのに、勝つか分からない戦いに出るのは割に合わない」と解説した。別の県議は「もっと早く不出馬表明すべきだった。長男への応援も身が入らない」と語った。
=2017/10/09付 西日本新聞朝刊=