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Photographer: Simon Dawson/Bloomberg
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英下院「合意なき離脱」拒否-首相離脱案、20日までに再採決も

更新日時
  • 7日以内に合意がまとまれば、短期の延期をEUに求めると首相
  • 20日までに合意できなければ、ずっと長い延期になるとメイ首相

英下院は13日、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を回避する案を賛成多数で可決した。これにより英国は離脱延期に向かい、離脱条件のさらなる見直しを探る道が開かれた。

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メイ英首相(3月13日、英議会で)

出典:PBU

  下院は合意なき離脱を拒否する案を賛成321、反対278で可決した。これを受け、3月29日の離脱期限の延期をEUに申請するかどうか14日に採決する。

  メイ首相はEUとの2年にわたる交渉で取り決めた離脱合意案を議会によって1月に歴史的大差で否決された後、離脱修正案も12日に大差で拒否された。13日の採決結果が公表された後、「下院はその決定が招く帰結を直視する必要がある」と語った。

  メイ首相は13日の採決後に下院で、「何か別の取り決めが成立しない限り、合意がないまま英国がEUを離脱することになるという英国法とEU法の規定事項に変わりはない。それが何かを見いだす責任は今や下院のわれわれ全員が負っている」と訴えた。

  今後7日以内に合意がまとまれば、短期の「テクニカルな延期」をEUに求めるつもりだが、21、22日に開かれるEU首脳会議前日の20日までに合意できなければ、ずっと長い延期になるだろうと首相は述べた。

  メイ首相が延期の長期化を警告したのは、閣外協力で政権を支えてきた北アイルランドのプロテスタント強硬派、民主統一党(DUP)および与党保守党内の離脱強硬派に対し、手遅れにならないうちに離脱案を支持するよう説得を試みる戦術といえる。延期が長期化すれば、離脱を巡る2回目の国民投票に道が開かれ、2016年の国民投票結果が覆されることにもなりかねない。

  関係者によれば、離脱後のアイルランド国境を巡る「バックストップ」条項について不安を和らげることを目指すコックス英法務長官が、DUPと協議している。事情に詳しい関係者の1人が語ったところでは、英政府は、離脱案を巡る3回目の「重要な採決」を20日までに実施することを目指しているという。

  一方、メイ首相がDUPおよび保守党内の離脱推進派との妥協点を探る水面下の協議を経て、離脱案の3回目の採決を準備していると英紙タイムズが報じた。同紙によると、離脱案に反対票を投じた保守党議員らは、法的助言の修正の可能性を巡りバークレイEU離脱担当相およびコックス法務長官と非公式に話し合っており、法的助言が修正されれば、保守党の下院議員とDUPが次の採決で首相案を支持する可能性がある。

  13日の下院では「合意なき離脱」の可能性を首相案よりもきっぱり拒否する動議の採決で、親EUのガーク司法相やラッド雇用・年金相、クラーク民間企業相といった閣僚らが、首相の方針に従わず棄権に回った。首相案の採決で保守党議員の43人が棄権ないし反対票を投じたが、棄権した政務担当者に辞任を迫ることはないと首相官邸は示唆しており、与党内での首相の求心力が日増しに低下しつつあることを示す兆候と受け取れる。

  英国との離脱交渉を担当するEUのバルニエ首席交渉官はユーロニュースTVに対し、「戦術的、政治的な延期という可能性も考えられる。その場合にはEUサイド、EU首脳、欧州議会は『何のためだ。なぜ延期する必要があるのか。新たな国民投票、総選挙を準備するのが目的か、違うのか』という応答、反応になると承知している」と発言した。

原題:Brexit Heads for Delay as May Tries to Scare Up Support for Deal
U.K. Govt Said to Aim for 3rd Vote on A Brexit Deal by March 20
Theresa May Prepares Third Vote on Her Brexit Deal: Times(抜粋)

(EUのバルニエ首席交渉官の発言を追加して更新します.)
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