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夢見させてくれた……凱旋門の月桂冠
文=瀬戸慎一郎 写真=JRA |
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※馬齢表記ほか、文章は掲載当時のままです |
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第4話 上昇気配、しかし…… |
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平成7年1月5日「金杯」(中山芝2000、GIII)道悪もなんのその。初重賞制覇に向けて豪快な脚で伸びてゆく |
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ナリタブライアンが三冠を達成して衆目を集めていたころ、サクラローレルは徐々に上昇機運に乗っていた。11月下旬の比良山特別(900万下)と、12月中旬の冬至ステークス(1500万下)に連勝したのである。
いい形で4歳(現表記で3歳)競馬を終えたサクラローレルは、5歳(現表記で4歳)緒戦に金杯を選んだ。
このレースで1番人気に推されていたのは、後に秋の天皇賞に勝つことになるオフサイドトラップであった。サクラローレルは2番人気で、以下ナカミアンデス、ステージチャンプ、インターシュプール。二線級のメンバーだっただけに、初重賞制覇のチャンスは十分といえる。
相手関係から好勝負は必至と見られていたが、サクラローレルは想像以上のレースをした。中団からやや後ろの位置につけ、3分3厘から一気のまくり。4コーナーに差し掛かるころには先頭から2番手にまで押し上げ、直線では2着のゴールデンアイ以下を2馬身半突き放す堂々の横綱相撲を演じたのである。勝ち時計の2分0秒5も、重馬場だったことを考えれば破格といっていい。
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平成7年1月5日「金杯」(中山芝2000、GIII)デビューから2年余。紆余曲折を経てようやく手にした重賞 |
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「素質の高さはわかっていたこと。ようやく重賞に勝ててホッとしています」
レース後、鞍上の小島太はそういった。重賞に勝った喜びというより、これでスタートラインに立てた、といった感じであった。また、境勝太郎も
「器の大きさを再認識しました。古馬にはとてつもないバケモノがいますが、今年はこの馬で大きなところを狙います」
と、春の天皇賞参戦をブチ上げている。
天皇盾に目標を定めたサクラローレルは、GIIの目黒記念に参戦した。素質開花を思わせる金杯のレースっぷりから1.5倍の断然人気に推されている。打倒ナリタブライアンを想定すれば、ここは負けられない。
ところが、好位からの競馬で抜け出したものの、伏兵ハギノリアルキングに足元をすくわれ、2着に敗れてしまう。さらに悪いことに、両前脚管骨骨折が判明し、休養を余儀なくされてしまった。ようやく本格化の兆しが見えてきただけに、不運というほかはない。
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