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ニャンダロー 2009年9月

ニャンダロー:皆さん、こんにちは。休みの日には高速道路1,000円のETC割引を利用して旅行やショッピングに出掛ける人も多いと思いますが、ETCの普及により料金所の渋滞は緩和されていますね。これにより車の排気ガスが減り、CO2削減にも貢献しているそうです。今回はそのETCシステムをご紹介します。先生は社会システム社の中村さんと木村さんです。
先生、ETCって料金所を通過する一瞬で、その車の料金がわかるけど、いったいどんな仕組みになってるんですか?

今月の先生 社会システム社 中村 順一さん(左)木村 健二さん(右)

木村先生:ETCシステムは、利用者の「ETCカード」、車両に搭載するETC「車載器」、料金所で車両の進入を検知して無線通信を行う「路側装置」、管理センターで課金情報を処理する「中央処理装置」から構成されてるんだ。

中村先生:そこに無線や暗号、演算処理などの先端技術が集結していて、最近では割引の仕組み、利用者のカードの種類などが非常に複雑だから、そういった条件の変化にも柔軟に対応できて、正確に料金を計算するシステムが必要なんだ。

ニャ:計算が難しそうだニャ~。実際、料金所を通過する間に何が起こっているのか順番に教えてください。

木村先生:わかりました。まず入口料金所で「車載器」が入口情報を記録します。出口料金所で「車載器」はその入口情報を「路側装置」に送信。「路側装置」がそれを認識し、あらかじめ設定されている車種・曜日・時間などに応じた料金体系から通行料金を計算して「車載器」に課金情報を送信します。この一連の処理を、料金所を通過するコンマ数秒の間に行っているんだよ。

ニャ:すごいニャ~。でも「路側装置」で料金は計算されているのに、「中央処理装置」では何をしているんですか。

木村先生:「路側装置」から送られてきた課金情報をもとに、クレジットカードなどの支払い方法、マイレージなどの特定ポイントサービス、月の合計利用額に応じて割引率が変動する多頻度割引など、利用者の様々な契約条件に応じて、料金やポイントを確定する処理をしているんだ。

ニャ:なるほど。「中央処理装置」で最終的に料金を確定させているんですね。

ETC利用の流れ

中村先生:そうなんだ。「路側装置」、「中央処理装置」それぞれに役割りがあって、初めてETCシステムとして機能するんだ。

ニャ:料金所では隣のレーンや前後にも車が走っていますが、どうやって個々の車両から正確な情報を得ているのですか。

中村先生:「路側装置」の付近には、実は目に見えない電波領域があり、特定の範囲のみの情報を通信できるDSRC(Dedicated Short RangeCommunication:狭域無線通信)を行っているんだ。主要な高速道路の場合、縦4m、横3.5mの領域で、立体的にみると台形のような空間なんだよ。

ニャ:そんな空間があるとは驚きですね。

中村先生:その領域以外の情報は認識しないように設定されていて、悪天候などの状況でも誤検知しないように何度も試験を繰り返して設置してるんだよ。

中村先生:それから料金所には車両検知器が設置されていて、車高、車長、車輪の数などから車種を認識しているんだ。だから「車載器」に登録されているのと違う車種が通過した情報はしっかりと記録されているんだよ。

料金所ETC路側装置

ニャ:そうなんですか。いわゆる不正通行対策ということですね。最後にETCシステム市場での東芝の強みって何ですか?

木村先生:東芝は国内の豊富な納入実績から培ったノウハウを活かし、様々な状況変化に対応できることと、道路事業者のニーズを汲み取り、より良いサービスを提案できることかな。

中村先生:私たちはこの技術を応用して、有料駐車場やショッピングセンターの利用者管理、ガソリンスタンドでの料金決済といった応用システムの開発に取り組んでいるんだ。東芝はこの分野で蓄積したノウハウと最新のITを融合させて、技術の発展に貢献していくよ。

ニャ:今後の応用も楽しみですね。先生方、今日はありがとうございました。

*ETCとは、Electronic Toll Collection Systemの略で有料道路での料金支払いを自動化するためのシステムです。
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