長篠の合戦、織田・徳川軍の馬防柵を中学校に再現2007年05月24日 長篠の合戦(1575年)で武田軍の騎馬隊を食い止める策として、織田・徳川の連合軍が用いたとされる馬防柵(さく)が、愛知県新城市竹広の市立東郷中学に登場した。歴史的な合戦場跡にある同校らしいフェンスをという校長の熱意に市教育委員会が動いた。縄を結びつけて本物さながらのものものしさも演出する凝りようだ。
迫り来る騎馬隊を、木を組んで作った馬防柵の背後で狙い撃つ鉄砲隊。戦国時代に勇名をはせた武田軍の騎馬隊を食い止め、鉄砲の力を見せつけた戦いとして知られ、びょうぶ絵にも描かれている長篠の合戦の構図だ。 289人の生徒が通う同校は、その合戦場の跡にある。学校の隣には徳川家康が本陣を置いた跡があるほか、近くの連吾川は、両軍がにらみあったとされていて、まさに当時の最前線の場所だ。 そんな同校に3月、高さ約2.1メートル、幅約70メートルにわたる馬防柵が登場した。同校の脇を通る市道の拡張工事に合わせ、市教委が約270万円かけて作った。 当初は金属製のフェンスが張られる予定だったが、中川克夫校長らが「歴史のある場所にたっている学校の環境をいかしたい」と、馬防柵の設置を提案したという。 中川校長は「馬防柵が身近にあれば、地域の歴史を生徒が実感できるはず。隣に山城のような門も作ることができたら、もっと雰囲気を出せるな」と夢を語る。 馬防柵は、木を模した廃プラスチックなどでできている。中川校長が柵が交差する部分に縄を結び付け、本物のような迫力を出した。 生徒らは毎日、馬防柵の前を通って登下校する。新学期には柵に登って記念撮影したクラスもあったという。歴史の勉強が好きだという2年生の鈴木周朔(しゅうさく)さん(13)は「自慢できるものができてうれしい」と喜ぶ。 中川校長は「生徒たちに、育った地域がどういう歴史を持つところか語れる大人になって欲しい。将来、他の地域や海外に行ったとき、うちの学校にはこんなものがあったよと思い出してもらえたら」と話している。 PR情報 |