ウクライナ軍、ドニエプル川東岸に進出 ロシア側も認める

ロシアが実効支配するウクライナ南部ヘルソン州チャプリンカで、攻撃を受けた家屋を調べる人たち=3日(タス=共同)
ロシアが実効支配するウクライナ南部ヘルソン州チャプリンカで、攻撃を受けた家屋を調べる人たち=3日(タス=共同)

ロシアによるウクライナ侵略で、南部ヘルソン州のロシア側占領地域のサリド「知事」は15日、ウクライナ軍部隊がドニエプル川を渡り、露軍の支配下にある東岸地域に進出したことを認めた。同川東岸へのウクライナ軍の進出はこれまでも伝えられてきたが、ロシア側が認めるのは初めて。

サリド氏は同日、交流サイト(SNS)への投稿で、東岸の集落クルインキ方面に「1個半中隊程度のウクライナ軍がいる」と指摘。一方で「渡河作戦中や東岸進出後にウクライナ軍は露軍の攻撃を受け、1個半~2個大隊を喪失した」とも主張した。サリド氏はまた、東岸に進出したウクライナ軍の損害が拡大し続けており、士気も低いと主張。ウクライナ軍は東岸の主要都市などを奪還する計画を立てていたが、「失敗した」などと述べた。

これに先立つ13日、ウクライナのイエルマーク大統領府長官は訪問先の米国で講演し、ウクライナ軍が東岸に拠点を構築したことを初めて公表した。米シンクタンク「戦争研究所」は14日付の戦況分析で「ウクライナ軍は最近、クルインキで前進した」と指摘した。

ウクライナメディアなどによると、ウクライナ軍は10月、ドニエプル川の渡河に成功し、東岸に初めて拠点を構築。ウクライナ軍の狙いは、反攻の主軸とする南部ザポロジエ州で前進が停滞する中、南部一帯やクリミア半島の奪還に向けた別の進軍ルートを確保することだとみられている。

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