第1章 |
教育を受ける権利 |
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第2条 |
家庭が申請する場合には,すべての子どもは3歳で,住居に最も近い場所の幼稚園あるいは小学校付設幼児学級に受け入れられなければならない。 |
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都市,農村,山岳地帯の別に関係なく,不利な社会環境にある学校では,優先的に2歳児の受け入れも実施される。 |
第3条 |
フランス国民は,今後10年間で,同一年齢人口のすべての者を最低限職業適任証(CAP)あるいは職業教育修了免状(BEP)の水準に,また同一年齢人口の80%をバカロレア水準に到達させることを目的と定める。 |
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義務教育修了時にその教育水準に達していると認められない生徒は,この水準に到達するため,学習を継続できなければならない。国は,その結果生ずる就学延長に必要な財源を措置すべく,権限を行使する。 |
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第2章 |
就学の組織 |
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第4条 |
就学期間は,学習期(cycle)を単位として構成される。各学習期について,年間到達目標と評価基準を含む全国統一の教育目標及び教育課程(programme)が定められる。 |
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幼稚園から小学校修了時までの就学期間は3学習期からなる。 |
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コレージュにおいては,2学習期に分割して教育を行う。普通教育・技術教育リセ及び職業リセの学習期は,普通教育,技術教育及び職業教育の免状,特にバカロレアの取得に連なる。 |
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各学習期の年限は,政令により定める。 |
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生徒間の平等及び生徒の成功を保障するために,各学習期及び全就学期間を通じて一貫した教育の下で,生徒の多様性に応じた教育を行う。 |
第5条 |
教育課程は,各学習期において獲得すべき基本知識及び習得すべき学習方法を各学習期ごとに定め,これを全国的基準とする。この基準の枠内で,教員は個々の生徒の学習リズムを考慮して教育を行う。 |
第6条 |
教育課程審議会は,教育の全般的理念,達成すべき基本目的,この目的に沿った教育課程及び教科領域並びにそれらの知識の発展への適応性に関して,国民教育大臣に見解を表明するとともに提案を行う。同審議会は,国民教育大臣が指名する適格者によって構成される。 |
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教育課程審議会の意見及び提案は公表される。 |
第7条 |
就学期間には,教育機関の発意と責任の下に,国内外を問わず企業,団体,行政機関及び地方公自治体で行われた教育の期間を算入することができる。この教育期間は,教育を施す機関が行う教育との関係で把握される。この教育期間は,技術免状あるいは職業免状の準備を目的とする教育においては必修とする。 |
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専門家が継続的に関与する専門的芸術教育を含む普通教育では,当該専門家は学力評価やバカロレア資格の審査に参加することができる。 |
第8条 |
進路指導相談及び教育や職業に関する情報を受ける権利は,教育を受ける権利の一部をなす。 |
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生徒は,修学・職業に関する進路計画を作成する。学校及び教育共同体,特に教員及び進路指導カウンセラーはその作成を支援するとともに,就学期間中及び修了後の同計画の実現を支援する。 |
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進路決定は,生徒に対する継続的な観察を通じて準備する。 |
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進路選択は,家庭あるいは生徒が成人に達している場合は生徒自身の責任において行う。学校長の決定に先立ち,学級委員会の提案に同意できない者すべてを対象に面接が行われる。校長の決定が生徒あるいは家庭の要望と一致しない場合には,その決定に理由を付すものとする。進路決定については,不服審査を申し立てることができる。 |
第9条 |
1学年は36週で,5つの授業期間と4つの休業期間からなる。3年間の全国的な学校暦が,国民教育大臣によって定められる。この学校暦は,政令が定める条件の下で,地方の状況を考慮して変更することができる。 |
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第3章 |
権利及び義務 |
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第10条 |
生徒の義務は,学習に固有の責務を遂行することにある。この義務には,勤勉さ,学校の運営規則や集団生活を尊重することが含まれる。 |
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コレージュ及びリセにおいては,生徒は多元性の尊重,中立性の原則の尊重の下に,情報の自由及び表現の自由を行使する。これら自由の行使は,教育活動を損なうものであってはならない。 |
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リセには,校長が主宰する生徒代表委員会が設置される。同委員会は,学校生活及び学業に関する諸問題について意見を表明し,提案を行う。 |
第11条 |
生徒の父母は,教育共同体の構成員である。 |
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学校生活への彼らの参加及び教職員との対話は,それぞれの学校において保障される。 |
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生徒の父母は,その代表を通じて学校評議会,管理評議会並びに学級委員会に参加する。 |
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父母の代表が県,地域圏,大学区及び全国レベルの各種審議会に出席するに当たっての欠勤の許可及び休業手当を受ける条件は,コンセイユ・デタ(Conseil d'Etat)の議を経た政令により定める。 |
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国は,中央教育審議会に代表権を持つ父母団体の代表団に助成を行う。 |
第12条 |
学生は,新入生受け入れ,高等教育機関での生活の活性化,就職のための援助活動に携わる。彼らは自らの代表を通じて,全国大学学校厚生事業センター及び同地域圏センターの運営に参加する。 |
第13条 |
学生の集団及び個人としての経済的及び道徳的権利と利益の擁護を目的とする学生団体は,代表権を有するものと見なされる。そしてこの資格において,高等教育・研究審議会及び全国大学学校厚生事業センターの管理評議会に出席を認められる。学生団体の代表団は助成を受ける。学生団体は,学生生活の経済的・社会的・文化的諸条件に関する情報を収集,調査する学生生活観察センターの運営に参画する。 |